中山七里さんの力作
★★★★★
今回のテーマは「死刑か無期懲役か」。連続殺人事件発生。渡瀬警部と岬検事とのマッチアップ。被害者の共通点は死刑にならず無期懲役になった殺人犯の家族である点。「ネメシス」と血文字を残した犯人の司法への挑戦か、と動揺する関係者。犯人はあっけなく逮捕されるが、その犯人が一つ目の衝撃。しかし、この作家は次々と技を繰り出してくる。真の目的を果たすために、無期懲役の判決を受け、意図した刑務所に入った犯人の、最後の犯罪。死刑ではなく無期懲役を連発し「温情判事」と呼ばれた判事の述懐の説得力。「テミスの剣」も読まねば。