編集の失敗?
★★★☆☆
全体としては、自爆テロの背景を丁寧に解説した良書だと思う。1章では自爆テロの思想的背景、2章ではイラン、パレスチナ、レバノンでの自爆テロの動機を解説しており勉強になる。
ただ、グローバル化のもとでの自爆テロの動機についての3章が文章の体をなしていない。中流階級以上の者を中核とするアルカイーダの構成員の話をしていたかと思うと、貧しいフランス移民の話に何の前触れもなく移るというような具合で、1つ、1つの段落の内容は理解でき、かつ興味深い情報(たとえばアルカイーダの各支部では漁船を操業しそれで上がった利益で運営するなど)も多いが、話の流れがなく、全体としての理解がかなり困難である。
訳者あとがきで、贅肉をカットしたと書いていたので、翻訳時の編集の失敗だと思う。せめて話のつながりが出来るように、編集しなおして欲しい。