デビュー登場の荒削りな勢いと作者らしさの片鱗が窺える
★★★★☆
『第一雅綴集』とあるように作者初の単行本である(全10編)。さすがに現在の特徴的な熟女像ではなく(そもそも本作には熟女が出て来ない)スラリとした女教師、姉とその友人、OL、同級生、若妻がヒロインである。本作のメインは『欲』(全5話)。生徒に恋した先生がのめり込み、嫉妬に狂って誘惑する話なのだが、いわゆる「あなたは私のモノ」が、次第に「私はあなたのモノ」に変わっていく先生の心情が痛々しく、悩ましく、そして切ない。一時は袖にされて自暴自棄な肉欲(生徒のことを忘れるため)に溺れるのだが、どうしても忘れられないと気付いてからの後半はかなりのラヴロマンス風味。生徒も真っ正面から先生と向き合うようになるハッピーエンドである。最後はかなり可愛らしくなる先生だけどちょっと重いかな。続く名作『艶母』の原型になったのではと思える作品である。中世欧風ファンタジー(?)な【鎖】は典型的な寝取られ。捕われ、鎖に繋がれた夫の目の前で美貌の若妻がヤられまくりの末に堕ちてしまう救いの無い話である。【恋結び】は、姉の友人に恋した主人公の甘酸っぱい想いに、姉と友人との秘められた性癖が重ねられた面白い話。実は友人も主人公を憎からず想っているのに自分を卑下して恥ずかしがっており、思わぬ展開で本懐を遂げた後に安心したのか心地よく寝入っている姿が何だか妙に微笑ましい。タイトミニのスーツ姿が艶めかしい【誘う女】にさしたるストーリーは無いが、電車痴漢(痴女)から始まる恋の予感といったところか。タイトルはおそらくこの映画から。地味な同級生がバイト先のビデオ店にエッチなビデオを借りに来る【哀願 愛玩 愛願】は、関係を持った後の、ヒロインのおとなしくもエスカレートしたおねだりが笑える結末である。隣の若妻をペットに貶める【猥婦】は最初期の作品。さすがに画風も発展途上だが勢いは感じる。
うーん、
★☆☆☆☆
収録作品が作者デビュー直後の1年分。
それはいいんですが、絵柄が今とちがいます。
まずカバーイラストと全然ちがう(笑)
コアなファンの方は問題無いんでしょうが…。
せめて初期作品集とどこかに書いておいて
いただきたかった。
コレクターズアイテムとしては誠意が足りないけど、封入された想いがステキな原点。
★★★☆☆
★4の下と紙一重な★3の上。
97年に司書房から発刊された同名タイトルのな著者の処女単行本の復刻版。
カバー内の作品解説は刷り色のみ変更。
女教師であるヒロインは、クラスに惹かれる男の子がいた。
彼はいたって普通の生徒。
ただ、彼の一挙手一投足が、その身にまとった体臭が、彼女の牝に火を点けて、淫らの妄想をかき立てる。
日増しにエスカレートしてゆく妄想。
そんなある日、校庭を女生徒と幸せそうに歩く彼を目撃して、その瞬間、彼女の裡にセツナクテイタイ感情が鳴動する。
嫉妬と言う名のこの世で最も純粋な恋心が、彼女の裡に潜んでいた獣を解放する。
『欲』は、女心を抜群に封入し、背徳を甘酸っぱいラブストーリーに仕立て上げた、カラー12頁含む全5話の初期傑作中編。
カラー8頁含む、中世欧風淫乱人妻肉便器天国物語『鎖』。
好きになったカノジョは、姉の百合相手で…『恋結び』。
満員電車で思いっきり痴女臭垂れ流しなお姉さんに出遭ってしまった青年のお話『誘う女』。
えっちなビデオを借りたら店員さんが同級生な男子生徒で…『哀願・愛玩・愛願』。
ペットプレイもの『猥婦』。
表紙・裏表紙・目次のイラストをリニューアルして、当時はモノクロおとしだったカラー頁を完全再現。
白ヌキ輪っか消しだったのが、大幅に改善されたのが有り難い限りですが、『恋結び』『猥婦』の2編は何故か当時の消しのままでガッカリ。
でもそれ以上に残念だったのは後書きが当時のものだけだったこと。
今後も著者の作品集は続々と復刻される予定らしいですが、せめて『復刻によせて』みたいな追記も最低限、買い直すファンのために盛り込んで欲しかったですよ。
『誘う女』『鎖』も見応えアリ。
無論、近作みたいな艶と作画力を期待する向きなら買い控えが吉ですが、熟れた女の情念をステキに描写する著者の原点が詰まった作品集。