垂れ流される剥き出しの肉欲に愛というスパイスをちょっぴりまぶした逸品。
★★★★☆
★4の上。
巻中カラー10頁含む、全9話で描かれた表題作『ブラッド・ランチ』に描き下ろし10頁の番外編を加えた丸ごと長編な著者の8冊目。
カバー内にステキなオバカ漫画アリ。
大学通学のため下宿生活を始めることになった主人公の青年『氷室』に、容赦なく降り注ぐ、その家の住人の毒牙。
妖艶な爆乳未亡人『ゆずは(表紙右)』。
ツン娘な貧乳女生徒『みやび(表紙左)』。
実は二人ともサキュバスで、吸血に走らないように男の精を下のお口(尻穴メイン)で取り込む必要性があるとか。
でもって、性徴期に至った娘みやびの初めての贄として、氷室が適合者かどうかゆずはが吟味しながら二人の行為を見守るというのが、前半部分の大筋。
4話での氷室の態度を評価したゆずはが、二人を放任することを決意した後は、世代交代な最終話まで、話はけっこうドタバタするけど。
ゆずはの贄である『草薙』とか、みやびの妹の『さつき』とかも、そこそこ活躍してくれる反面、氷室やみやびの学友たちとか、ロリ娘『シグレ』とかの役どころは微妙で、使い捨てキャラっぽくなっちゃったのがちょい残念。
長編になるとシチュ優先で組み立てるあまりキャラを上手く使い切れない欠点が相変わらず露呈してしまったけど、今回は主題である二人のキモチの移ろいがコマ展開で秀逸に描かれていて、ドラマとして観ても味わい深かったです。
幻想譚な定義付けのワリには不思議味ぱ希薄。
前作『天使の雫』収録中編『TENCHU天使』の破壊力には今一歩及ばずも、フルスイングの両拳をぶち込むなど抜群のハードさを演出。
サービス過剰の汁描写もいつも通り。
構成的な欠点もあるけど、一冊の本としての完成度は8冊中ベスト。
無論、破壊的な性描写が苦手な方なら絶対にパスしてくださいませ。
愛という名のスパイスを、垂れ流される剥き出しの肉欲にちょっぴりまぶした逸品。