著者の熱意、昔のものづくりの苦労、着物に愛着湧く
★★★★☆
私は着物を着る、浴衣が着たくなって着付けを習い、
今は普段でも着物を着ることがしょっちゅうある。
昔は普段着には木綿の着物をみんな着ていたらしい。
そして木綿の着物を自分で仕立ててみようじゃないか、と
布を購入した時、この「木綿口伝」の本を知った。
木綿がいつ頃からどうやって作られてきたのか、
どんな地域でどんな木綿が作られたのか。
江戸時代の残っている文献などをもとに書かれていて
著者がどれくらいこの本を書くのに熱意をこめたのかわかる。
綿づくりの過酷な作業も、若い頃のことを老女の口から
直接聞いて書いている、現代なら考えられない労働だ。
栽培した綿を摘む時期に集められる女性やそれを目当てに来る
男性の(ちょっとした恋?)話も載っている。
そして織りの作業をする女性たちの苦労話。
美しい木綿の布には、こんな実話がいっぱいあったんだなぁ、
と250ページ以上ある本なのに、次へ次へ…とページをめくった。
星4つなのは、活字が小さいのと、当然だが難しい漢字がてんこ盛り。
多少の和服(織りや染め、ほか)の知識なども必要だ。
木綿に限らず、昔の布作り、ものづくりに興味がある人は
この「実話」を読んでみたらいい、着物にまた愛着が湧いた。