イザベラおばさんの四川旅行
★★★★☆
『日本奥地紀行』で有名なイザベラ・バードの中国大陸奥地、いまの四川省への旅行記です。第1巻は長江をさかのぼっての四川入りがメイン。風光明媚なことで知られる長江上流域の船旅とあって、行き先々の名所名跡を彼女も記していますが、むしろ本書の本領は旅先の生活描写。よくぞここまでと思うくらい些細なことまで好奇心を向け、カメラのように克明に写し取っています(加えて彼女自身の撮影した写真が挿入)。臨場感にあふれた描写は、彼女と旅をしている…そんな錯覚を覚えさせるほど。構成の妙もあり分量に関わらず読ませる本です。