ダイオウホウズキイカはダイオウイカと異なり、胴部は太く、腕が短く、胴体の約半分を占めるほどの巨大なひれがあるのが特徴。発見されたのは1925年のことで、頭部と腕が南極海で捕獲されたマッコウクジラの胃の中から出てきたのが最初ですが、謎の多い巨大イカです。南極海に分布し、水深1,000~2,000mほどの深海に生息しています。写真は2007年2月に南極海で捕獲された個体で、ほぼ完全な状態でニュージーランドの国立博物館テパパに持ち込まれました。全長は約8mと、長さこそダイオウイカにおよばないものの、その体重は約500kgと計測され、世界で最も重いイカであることは間違いありません。最大で600~700kgになると考えられています。
左頁:生まれたばかりの体長2mmほどのケンサキイカの幼体には、すでに宝石のような色とりどりの色素胞(しきそほう)が備わっています。色素胞は体が成長してもその大きさはほとんど変わらないことから、この幼体がどれくらいの大きさなのかがわかります。
右頁:ソデイカの幼体は茶色い色素胞(しきそほう)でおおわれた帽子のような外套膜(がいとうまく:胴体)をもち、この独特の姿から、ほかのイカの幼体とは容易に区別できます。ソデイカは卵を巨大なソーセージ状の浮遊卵として産むことが知られています。浮遊卵は直径30cmほど、長さ1.5mにもおよぶ全体的に赤紫色を帯びた円筒形で、中には数万個もの卵が帯状に並んでいます。浮遊卵はしばらくの間、潮の流れとともに表層を漂うことから、しばしばダイバーや漁師に目撃されます。
オーストラリアの南半分、西はシャーク湾以南、東はブリスベンからタスマニア沿岸にかけて、およびニューカレドニアの南部沿岸に分布。水深100mほどの岩礁域、砂地や砂泥底(さでいてい)の藻場(もば)などに生息。外套長(がいとうちょう:胴体の長さ)50cm、体重は10.5kgにおよび、コウイカ類の中では世界最大級。体は通常、緑色または黄色を帯びた茶褐色。眼の上に、2列になった葉のような形の突起が3つあります。主に魚や甲殻類(こうかくるい:エビやカニの仲間)を食べるほか、死んだ魚まで食べる大食漢として知られます。
左:空を飛ぶイカがいます。これはアカイカ科のイカに見られ、代表的なものではトビイカやアカイカの若体などです。イカは水中で頭部と外套膜(がいとうまく:胴体)の隙間から吸い込んだ水を、漏斗(ろうと:水管)から強く噴出することで水面に飛び出し、空中でも体内に残った水を噴き出しながら推進力を得ます。そして、ひれと腕を翼のように広げて揚力(ようりょく)を得ながら滑空するのです。
右:アラスカ南東部からカリフォルニア半島南端までに分布。ワシントン州からカリフォルニア州に多く、沿岸から水深200mほどに生息。外套長(がいとうちょう:胴体の長さ)16cmほどまで。ツツイカの仲間の多くは生涯、集団で行動します。捕食者から捕食される確率を低くし、繁殖する時や捕食の際に、効率を高めるためだと考えられています。
全長4cmほどの透明な体に、赤や黄色の大小の色素胞(しきそほう)が並んでいるマダコ科の幼体。腕には赤褐色のしま模様がほぼ等間隔に並んでおり、眼の上部にわずかな突起が見られます。写真はフィリピンで撮影されたもので、種類としてはWunderpus 属かAbdopus属だと考えられます。タコの幼体は中層を漂いながら分散し、餌となる小さな甲殻類(こうかくるい:エビやカニの仲間)の幼生などを捕えたり、魚などの捕食者が寝ている夜の時間には、暗闇に紛れながら自分の棲みやすい場所を探し、よい場所にたどりつくと、そこに着底して底生生活へと移ります。