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バッハとの対話―バッハ研究の最前線

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: 小学館
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音楽資料学のおもしろさを教えてくれる好著 ★★★★★
バッハ関連の本はたくさん読んできたが、この本は出色である。バッハ愛好家はもちろん、すべてのクラシック音楽愛好家にとって、音楽史における「資料伝承」の問題と、それに取り組む先端研究の一端を本書によってかいま見ることは、非常におもしろくて意味のあることだと思う。古い音楽の来歴の問題は、きれいに印刷された楽譜が「自明のもの」として流通している現代では、なかなか一般の人々の意識にはのぼりにくい(演奏家ですら、この問題に関心のある人は少ない)。しかし、美術品に鑑定作業がつきものであるように、古い音楽を扱う際にも、専門的な方法でその来歴をたしかめる作業が不可欠なのだ。

音楽の資料伝承の過程には、音楽ならではの物理的な問題がある。楽譜印刷の技術が確立するまで、西洋音楽は主として手書きの写しによって流布してきた。ドイツでは、楽譜の出版は1730年前後からぼちぼち始まり、バッハもそれから20年後に没するまでに5点ほどの出版譜を世に送ったが、それ以外のほとんどの作品は筆写のみによって受け継がれた。その結果、ある一曲の楽譜が、ときにはバッハ本人の自筆譜、ときにはその弟子による写譜、あるいは弟子の弟子による写譜といったように、「玉石混交」のかたちで残されることになった。世界に散在するそれらの資料を可能なかぎり収集・整理して、「作曲者の同定は正しいか?」「複数資料がある場合、どれがもっともオリジナルに近いか?」「何年頃に書かれたか?」などの問いを紐解きながら作った楽譜が、「批判版 Critical Edition」である。

バッハの楽譜全集はすでに19世紀に一度出版されたが、それから新しい発見が多数なされたため、1950年、「作曲者の意図をより厳密に反映した批判版」を目指して、『新バッハ全集』の編纂がスタートした(半世紀後の2002年にようやく完結した)。著者の小林義武氏は、ドイツの国費を投じたこのプロジェクトに1974年から参加し、まさに先端の研究を手がけてきた。本書では、筆跡鑑定や紙の鑑定など、現場で資料と格闘したものにしか書けないつぶさな研究過程と、その過程から生まれる新たな謎の数々が、バッハの自筆譜を中心とする豊富な図版とともに紹介されている。音楽好きなら、読み進めるほどにワクワクすること間違いなし。
ドキドキ、ワクワク! ★★★★★
かつてこんなにドキドキ、ワクワクするバッハ本があっただろうか?
しかも、小林先生は非常に分かり易い言葉で
(実は研究者の最も苦手なことではないだろうか)
書いておられる
(これは氏の著作に共通して言えることだが)。
構成レイアウトも非常に良く、文章と相まって本当に読みやすい。
しかも内容は副題にあるように「研究の最前線」です。

そこからは、本当にバッハの当時の生活を
目の当たりにするような快感すら得られる。
極端な話、バッハファンでなくとも、
もっと言えば、クラシックファンでなくとも
十分楽しめるのではないかと思われるほどの好著である。