中高生の自己理解と他者理解及び心理学入門兼ねる好著進路を考える際にも役立ちます)
★★★★★
心理テスト感がやや薄い「エゴグラム」を紹介して、行動パターンとしてのパーソナリティの理解から導入されています。フロイトの精神分析学の考えに沿ってパーソナリティが形成される過程が説明されます。心理学入門の役割を果たしている高度な内容を、時のアニメーション、映画、メルヘン、物語などの作品を例に取りながら解説されます。こころのメカニズム、防衛機制、社会心理、集団なども視野に入れながら説明が続きます。
レビューライター自身の中高生当時の進路(進学・就職)選択を振り返る時、当時この様な資料があったならば、回り道や寄り道をせずに済んだだろうにと言う苦くも懐かしい思いがあります(今では回り道や寄り道の意味や意義も理解していますが)。また、中高生時代に体験した強迫的な考えや行為も当時資料によって理解出来ていたら不安や心配などが軽減出来たであろうと回想されます。
教科学習や進学競争に何かと強迫的に加速化して駆り立てられている様な中高生の様相の中で、本書は自己理解や他者理解及び進路(就職・進学)選択にヒントや示唆を提供する資料だと考えられます(願わくば大森 与利子氏の後続書『「隙間」論ー 人間理解の臨床〜モノローグからダイアローグへ〜』東洋館出版社、『「臨床心理学」という近代ーその両義性とアポリア』雲母<きらら>書房も何時か手に取られる事を一読者として期待しています)。