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医療倫理 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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生命倫理学は、おもしろい ★★★★☆
 大学生あるいは大学院生の生命倫理のテキストとしてお薦めできる内容である。内容が豊富であり、かつその中で論点が簡潔にまとめられている。また、共著者からのコメントも興味深いものがある。
 だが、以下の記述には納得がいかない。

*P 122
 この国の司法の立場にある者は、自殺行為を公序良俗に反する、自己決定権の濫用(民法1条3項)とみなし、医師に救済措置を命じるだろう。

*どのような事態を想定しているのか判然としないが、自殺行為が何故公序良俗に反する行為なのか理解できない。「自殺」という行為は、伝染性をもつと言われ、米国では、その対策をしているが、有名人の自殺から高校生の自殺事件が頻発した過去の例から公序良俗に反すると判断しているだろうか、理由を明確にして欲しい。
 又、自己決定権の濫用とみなすのならば、自殺者、自殺未遂者は罰せられることになろうが、刑法には自殺関与罪はあっても、上記の者を罰する条項はない。自殺が処罰されない理由には、現在2つの考えがあることも著者は承知していると思われるので、あえて記載しないが、P122の記述(前半部分)に大きな疑問を感じる。
さらっと読める医療倫理の優れた入門書 ★★★★★
「ナチスのカード」、「すべり坂論法」、「救助原則」、「非同一性問題」・・・と医療倫理でしばしば登場する話題が分かりやすく論じられている。2時間程度の「医療倫理学ツアー」で初心者の読者をも充分楽しませてくれる。著者は、医療倫理学を、合理的な方法で常識を疑い批判的な反省を行う学問としている。そして、性急な回答を求めるのではなく、考え方の筋道を吟味することに重点を置いている。

最終章は、医師が16歳未満の少女に対して親の同意なしに経口避妊薬を処方できるかについて、イギリスの貴族院(最高裁)5人の判事がそれぞれどう判断したかを記載して終えている。その中でも、最後に取り上げられているブリッジ(卿)判事の見解が興味深い。「社会的・倫理的論争の問題と深く関係している場合は、裁判所はできる限り謙抑的にその権限を果たすべきであり、権威をもって話す正当な資格の無い領域において、命令口調で意見を表明することを避けるべきだ。」

医療従事者のみならず法曹関係者にもお勧めしたい教養書である。