重要判例のマッピング
★★★★★
山口教授は非常に理論的な学説で有名ですが本書は自説の開陳は
極めて抑制されています。
学生が判例を読む時にどのような点に重点をおくべきかを念頭に執筆されたと思われます。
そのため
・近時の重要だと思われる最高裁の判例を素材に
・事実関係も豊富にピックアップしたうえで
・下級審から最高裁に至るまで、どのような法的解釈が採用されたのか
・途中で変った場合、それはなぜなのか
というスタイルで、関連判例を紹介しつつ現在の最高裁の考え方を客観的に記述することに撤しています。
かといって、無理に自説を押し付けるスタイルでは無いので、いかなる立場にたたれるかたでも熟読の価値が有ると思います。
本書に合わせて、ジュリストの「時の判例」を併読すれば一層学習効果が上がると思います。