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岩盤を穿(うが)つ

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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見えない貧困を知る ★★★★★
ニュースなどで「貧困」という言葉をしばしば耳にする昨今。難しい言葉ではないのに、なんとなく漠然と大変だなあというイメージしか持っていなかったような気がする。
それが、この著書を読んで、日本における戦後まもなくの「貧困」、あるいはアフリカ難民などのイメージから来る「貧困」と、現在日本という国が解決しなければならない問題としての「貧困」という言葉の違いを知ることができた。前者の理解から来る「貧困」という言葉のイメージでは、現在起こっている「貧困」を見ることができず、したがって解決もできないのだ。
著者は、私たちが抱く貧相な「貧困」のイメージを変え可視化する必要を説き、それは単に「貧困」に追い込まれている人たちのみの問題ではなく、それを解決しないことには、一見「貧困」とは無縁に見える人たちにとっても苦しい社会状況を作り出すばかりであることを教えてくれている。
「貧困であるかどうか」は、「人間らしい生活ができるかどうか」であるとの定義は、思えば当然のことなのに、現代の私たちが見落としていた視点であった。
これだけの活動をしている人なのだから、胸には熱いものを秘めているのだと思うが、文章はあくまでも冷静で、社会全体を視野に入れて、理論的な口調で、納得させられた。
日本の保障制度、貧困の酷さ、その影響がわかり、著者の活動にも感銘を受けた ★★★★★
この本を読む前は、
「頑張ってるのに不幸が重なって貧困になった人は救ってあげたいが、
自分で好き好んで転落していったんじゃないの!?」という「自己責任論」感もあり、
誰でも彼でも救おうという著者の思想にある種の反感を持っていた。

しかし、
・貧困層が増えたからこそ、経営者から中間層に対しても「もっと安く使える人間なんていくらでもいるんだから…」という理由で雇用環境が悪化させ、更に貧困を拡大させているということ、
・働ける人を働かせない状況に追いやることで、結果、生活保護等に要するコストが莫大になるということ、
・政治家による情報公開(財源問題)なき財政危機論で黙らされ、セーフティーネットを削減し続け、
・誰しも一つでも歯車が狂えば貧困になりえる社会
という現実を知り、貧困は貧困状態に追い込まれた人だけの問題ではないことを痛切に感じた。

それに加え、世のため、人のため、自分のため、とはいえ
行政との戦い、甘い顔をするとすぐ常識を破る受給者や、激しい抗議のメールなどに耐え、よく活動をしていると感心。

私も何か出来たらと思いつつ、大それたことは何も出来ないが、家族というセーフティーネットを大事にしていく、ということから始めていこうと思った。
ひとこと ★★★★★
前の方のご意見に対して 

何か政策をなす場合に、一部のロスというか危険は仕方がないと思う。この国のあらゆる方策について、いつも思う。その一部を封じ込めるために全体に網をかぶせる。或いは全体を取りやめにする。社会主義というか全体主義というか、全体を真っ白にしなければならない、と考えないこと。数%の誤差やコストは仕方がないのだと考えること。それよりも8割でも9割でも政策が行き届くことが大切。その一部に対しては特別に方策を作成することにより、対処をすること。
読んでおくべき良書 ★★★★★
すぐそばにある貧困を認識したり、著者の言うところの
日本人の貧相な貧困観を見直したり、国や既得権益層
による おかしな制度を封じる意識を高めたりするために、
読んでおくべき良書。

正社員であっても、余裕や楽しい生活はなく、しがみつか
なければならない故の しんどさや 競争の不安があるだろう。
安定しているかに見える大企業やそこでの厚遇と
引き換えのきつい労働と成果主義。
それこそが、勝ち組になりたいとそれを追いかけて
すがることこそが逆に ごく一部に富を集中させ、
既得権益者の牙城を強固にする。

著者は、自分自身の課題として明確に考えるきっかけを
与えてくる、どうするんだと突きつけてくる。


(ただ、書籍では触れられていないが、社会保障に対する
 マインドの壁を無くさなければと思う。
 そのために、行き過ぎたウェルフェアクィーンや不正
 受給が無いようにしなければならない。
 今は それら自体が、権力者や搾取する側に いいように
 情報として使われ、社会保障を減らせという圧力に
 なってしまっている面を感じる。)