わかりやすさが魅力。短時間でコンサルタントの「考え方」が身につく。
★★★★☆
はじめにで明確に書かれている。
コンサルタントの「解答力」のキーワードは、大きく分けて、1期待値を読む、2本質を彫り出す、3ロジックとパッションで人を動かす、の3つだという。
「どんなに正しい答えでも、相手に伝わらなければ、それは正しい答えとはいえない。相手の心を動かし行動に結びつけられなければ、正しい解答ではないのだ。」
「答えは、斬新なものでもありきたりなものでもいい。結果的にその答えにより、人や会社がいい方向に動き、物事が成功すればいい。」それには「相手軸」の考え方が必要だと説く。
人の行動の基本は、mustとcanとwillの三つだという。この三つがそろったとき、人は最高のパフォーマンスを発揮する。
期待値を読み、期待値に合わせるというのは、相手の質問にただていねいに回答していればいいということではない。全体を知りたいのか、部分を知りたいのかが、最初の鉄則で、その後レベル感として、高さ、広さ、深さを知る必要がある。
目線を合わせる、つまり相手と話の次元を合わせることで、言葉を交わす中で得られるニュアンスを読み取り、それにこちらの答えも合わせていくことが大事である。
まずは相手に自分を認めてもらわない限りは、自分の期待値に合わせることを相手に要求したとしても、絶対に受け入れてもらえない。そこで、自分の能力を棚卸ししておく必要があるという。
本質的ではない情報を切り捨てていく分析作業が必要である。
本質を見る目を養うまでは、仮説検証と失敗を繰り返すしかない。そして自分の頭の中に、「これが本質なのではないか」という仮説と判断基準を明確に持つことが重要だ。
そのために、本物に触れることも大切だと説く。
「『○○がない』などという否定的な言葉は、ときに思考停止をもたらす。」「一方で、それをプラスの表現に置き換えようとすることが、問題解決の第一歩となることもある」という。
単なるビジネスコラム
★★★☆☆
著者の野口氏はビジネス本の世界では売れっ子の一人であろう。HRインスティテュートというコンサル会社がどれほどの力量があるのか、市場でその評判を聞くことはほとんど無いが、書籍は多数出しているので存在自体は認知している。まあ、コンサルに求められる文章表現力は高いということなのだろう。
内容はといえば、どうなのかな・・。まあ、コンサルとクライアントとのコミュニケーション上のコツを身近な事例を使って分かりやすく解説しているのだが、別にそれはコンサルに限らずにビジネスパーソン全般に当てはまる事だし。つまり、780円にしては薄っぺらい内容だということだ。身近な事例のほとんどが、すし屋やレストランについてばっかりで、この人、よっぽど外食が多いんだろうなあと推察する次第。マーカーをつけたのは一箇所のみ。あんまり学ぶ所が無い本。
人を動かせなければ「解答」とは言えない、まさにそのとおり!
★★★★☆
「コンサルティング終了時のプレゼンテーションがどんなに高度で
すばらしいものであっても、「うちの能力を超えている」とか、
「非現実的だ」などと言われ、人を動かすことができなければ
それは解答ではない」、というのは、まさにそのとおり。
「回答」ではない「解答」を出すためには、どうすれば良いか?
1.目線を合わせて相手の心を開いたり、
2.自分が何者かを提示して、期待値をすりあわせる
などにより、徹底的に相手軸に立つ事がスタートだ。
次に問題の本質を深くえぐり出し、最後は、ロジックだけでなく、
パッションを加えて、相手の共感を得なければ、人を動かすことなど
できないのだ。
非常にわかりやすい、良書だと思います。
知的アウトプットのための思考法とスキルを学べる。でもちょっと・・・
★★★☆☆
本書で言う「解答」は、仕事の成果や人間関係構築までも含んだ包括的な解答であり、「期待値を読む」・「本質を彫り出す」・「ロジックとパッションで人を動かす」の3部構成で解説している。
目線を合わせ立ち位置を知るために相手の「温度・湿度・輝度」を観ること、情報整理のための「束ねる・ひもとく・捨てる・凝縮する」4つのプロセス、「知識よりも意外な視点を提供し点から線・面へと展開することで相手のパラダイムを変えてしまう」解答テクニックなど、コンサルタントに限らず知的アウトプットを求められる全てのビジネスパーソンに取って参考となる思考法やスキルが数多く学べると思う。その意味で「現場力」・「質問力」に続く良書だろう。
ただし通読して気になるのは、文章が粗いことと野口氏の感性のみで書かれている部分が多いことだ。
元々野口氏並びにHRIの書籍の「売り」は、論理の緻密さや堅牢性を多少犠牲にしながらも、コンサルティングの思考法やスキルを「判りやすい言い切りと勢い」で書いている点だと思う。そこが、マッキンゼーやBCG系のコンサルタントの書籍とは一線を画すところだろう。しかしその「売り」も一定レベルの質感が維持できないと、評価がガクッと下がってしまう気がする。
この本がそうだとは思わないが、野口氏のコンサルティング・マインドを読みその深さを知っているだけに、今後も書籍の粗製濫造だけは避けて欲しいと願っている。
相手軸に立つことが大事
★★★★★
『コンサルタントの「○○」力』シリーズ(?)の最新刊。
コンサルタントでもなく、また、コンサルタントになりたいとも思っていない自分が著者のようなコンサルの人の本をいろいろ読んでいるのは、問題解決能力を身につけたいため。
特に、庁内の問題を全て自分ひとりで解決できることはできないので、他人を動かす力を身につけたいと思っている。いわば、庁内コンサルタントとして、外部のコンサルタントを雇わなくても、自らの組織の課題を解決したいのだ。
そんな自分には、著者の本はうってつけ。
自分が携わっているプロジェクトでも課題は山積。その課題を解決するには、現場や企画部門を動かす「解答」を示さなければいけないが、この本では、コンサルに求められる「解答力」とは何かを教えてくれる。
解答と回答の違い、知識、認識、見識の違いの説明から始まり、コンサルの解答力、期待値を読むこと、本質を彫り出すこと、ロジックとパッションで人を動かすことの3つについて、とても分りやすい説明がなされている。
端的に言えば、単なる問題分析を的確に行うのではなく、常に相手の立場に立って、考え、説明し、人を動かしていくということだ。
うーん、深いな。相手の立場に立つなんて当たり前のことだけど、つい、自分の考えの正しさの固執してしまうのが自分の欠点に気付かされた。
問題解決に臨む基本として、忘れないようにしよう。
本筋とは関係ないが、気になるところが1点。
自分が飲んだり食べたりする表現として「いただく」というのが、何箇所か出てくるが、非常に違和感を感じた。最近、テレビとかでも「いただく」連発だけど、日本語として正しいんだろうか?「いただく」は丁寧語ではなく謙譲語だと思っていたんだけど...