普段は容赦なく訓練生たちを扱く教官が、遭難した受の訓練生をきつく抱きしめて・・・というシーンがすごくよかったです。大人の男が、好きな人を失うかもしれないと思ったときにうけた衝撃をストレートに言葉にする姿なんて、もうクラクラです；
負けん気が強くて、無意識にフェロモン垂れ流しの受もかっこよくてかわいいですけど、私は教官に惚れました。
もちろん、蓮川愛さんのイラストもすごくかっこよかったです。

SD（セキュリティドッグ）と呼ばれる、SPよりも過酷な現場につかされる要人警護のスペシャリストを
養成する孤島の施設に、入所テストをトップスリーでクリアした主人公。
ですがこの主人公、オトコ好きで島についた早々、オトコの値踏みをする始末。
しかも好みはちょっとゴツめ。で、自分はスレンダー美人のくせに攻めなのです。
入所してからも人目を忍んで、不特定多数の人間相手に遊びと割り切った逢い引きをしたりと、かなりの無節操ぶり。
そんな主人公に待ったをかけるのが、男前の鬼教官。
「こんな男を組み伏せられたら」と思っていた主人公だが、あまたのSDを育て上げた男に敵うわけがなく
いつの間にやら受け身に回らされてしまい……。
途中には、他の男にも襲われてしまったり。

攻×攻的なシチュエーションがお好きな方には、かなり美味しいかと思います。
ストーリー的にも、孤島の養成所という設定が生かされていますし、脇キャラも個性のある人間が数人、
惰性で恋愛に突入するわけでもなく、ちょっとしたハードルもあったりで、
最後まで飽きる事なく読む事が出来ました。
主観ですが、蓮川愛先生のイラストがかなりマッチしていて、より一層想像力が掻き立てられます。

巻末の短編では、自分がフェロモンを垂れ流していることになど全く気付いていない主人公が、
独占欲丸出しの教官にやきもきされている、ちょっと可愛いストーリーが読めます。