貫き通した愛に感服
★★★★★
正直、こんな作品だとは予想していなかった。高校の時に見初めた美貌の担任教師と結ばれるまで7年である。この間、主人公は先生とのある約束を胸に秘めながら大学を卒業し、社会人になって再会を果たすのである。もちろん先生も約束を忘れることは無く、晴れて結ばれるのだが、それまでに2人の先生と出会う。大学時代に通った自動車教習所の先生からは半ば強引に誘惑される。主人公の秘めた想いを知ったうえでの励ましからなのだが、結果的に主人公にとって重要な転機を与えることに一役買っている。教育実習でお世話になった先輩先生は、残念ながら存在理由があまり無い。いなくても話は成立する。主人公の優しさが示されたくらいである。しかし、この3人のヒロイン達がその時々に見せる主人公への愛情は大変心地良い。主人公も、約束した先生への想いは大切にしながら、他の先生からの愛情も大事にしており、まぁ見方によれば浮気かもしれないが、主人公の誠実さがそれを許してしまうのである。流れる年月もきちんと感じられるため、先生との約束が成就した時には、物語冒頭の出会った頃が懐かしく思え、感慨もひとしおだった。惜しむらくは、教習所の先生と先輩先生との情事のその後に全く触れられず、放ったらかしの印象が残ることである。叙事詩と言えば大袈裟過ぎるが、そんな気にもさせてくれ、ヒロイン達から滲み出る愛情に誘惑系のど真ん中ストレートを投げ込まれた気がした。後味のすこぶる良い作品である。