袴田事件 ─ 冤罪・強盗殺人事件の深層
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私たちがもし陥れられ、不当に罪をきせられた場合、
いったいだれが真実を見抜いてくれるのだろう──
48年間無実の罪で収監された日本史上最大の冤罪事件に迫ったドキュメント。
不自然な証拠、解明されないままの謎……
にもかかわらず1980年、袴田巌の死刑判決は確定した。
2014年3月に死刑執行停止と再審が決定した袴田事件を、
殺人事件の取材、ドキュメント収集、ルポルタージュ執筆に豊富な経験をもつ著者が、
事実吟味の視点から徹底的に追った1冊。
事件現場見取図、問題の「5点の衣類」など、付図・付表を多数収録。
絶版状態だった文庫版に新たに再審決定の経緯も加え、改めて世に問い直す。
【目次より抜粋】
◆序章 「袴田事件」と謎
◆第1章 火災発生
「せつない煙」/開かずの扉/鎮火、4遺体発見
◆第2章 放火は故意か偶発か
清水港と味噌屋/裏木戸には閂/黙殺された石油缶
◆第3章 強盗罪の成否
強盗罪は成立するのか/甚吉袋の中か手提げ籠の中か/手つかずの宝石、通帳
◆第4章 事件前夜まで
鰻屋で一杯/ビートルズファンの扶示子/内向的な雅一朗/火宅
◆第5章 重要参考人
「血染めのパジャマ」にした先入観/なぜか、誰も「見ていない」と証言
◆第6章 人格証拠
身辺調査を先行/火事の原体験/「女癖が悪い」は本当か
◆第7章 家庭・離婚・子供
妻は全て夫の責任と主張/乳児を棄てて情婦のもとへ/こんな子がいるのにできるのか
◆第8章 逮捕、拘留
予告された逮捕劇/過酷な取り調べ/自白に要した240時間/睡眠不足か脚気か
◆第9章 自白
供述調書に署名捺印/「強制した事実はない」と取調官/くいちがう“自白まで”
◆第10章 供述調書1
検事調書の影響力/「手拭の件は認めろ」と……/「見覚え」が決め手
◆第11章 供述調書2
小判をとらず小銭入れを/集金袋の謎
◆第12章 供述調書3
この恰好で眠れるのか、風呂は?/ちゑ子夫人は殺しの水先案内人?
◆第13章 供述調書4
火葬台/パジャマとパンツ/盗んだ金は預けた
◆第14章 5万円を預けた女
C温醸室D桶下/金を預けた女/袴田と女と警部補
◆第15章 5点の衣類
味噌漬けの服/ズボンと共布/全般的に「大きい」
◆第16章 第1審判決
タンクの味噌/袴田が踏んだ?/判決は死刑
◆第17章 東京高裁の争点
黒皮財布/もう一人の逮捕者/上着はA型下着はB型/大きすぎたズボン
◆第18章 遺体の傷
クリ小刀だけなのか/油の同一性に疑い/篠田鑑定は「言いすぎ」
◆第19章 再審に向けて
高裁、最高裁判決/ボクシング協会も支援/再審へ
◆付図・付表