この本について
★★★★☆
この本はタイトルにもあるように表象という問題を扱った論文集です。表象一般に関わる抽象的なレベルの議論から、具体的に一つのテクストを取り上げて、そのテクストにおける表象の特徴、その不安定性を扱うものまで幅広い問題が取り上げられています。本書は全部で13本の論文からなりますが、どれもそれぞれ読み応えのあるものとなっています。また扱われている作家は、志賀直哉や三島由紀夫といった日本人だけでなく、ドストエフスキーといった作家も取り上げられています。なかなか難解な本ではありますが、表象というものを多面的に捉えることができます。