ボサノヴァアレンジのマイケル・ジャクソンカバー集。

はじめ、ジャケットを見て 「あ、またミーハーそーなコンピレーションが出たぞ」 と思ったけれど、マイケルもボサノヴァも好きなので聴いてみた。すると2曲目 の 「スリラー」 のカッコよさにやられた！（このスピード感と、ほど良いダークさ、気だるさがいい。） アレンジ、歌、演奏いずれもごく普通にポップなボサノヴァだけど、このスザンヌ・ヴェガを思わせる女性ヴォーカル （ラクエラ・スプリングという女性） に歌われた 「スリラー」 はカッコよくて楽しい。（そして 「ああ　自分もミーハーだったらしい」 と自覚し 「でもいいや、これ気持ちいいから」 とひらきなおった。）

自分の知ってるマイケルのあの曲この曲がどんなボサノヴァに仕上げられているか？それを聴くのがおもしろい。原曲と違うリズムや違うコードが使われていたり、女性ボーカルで歌われていたりすることで、かえって原曲の良さに気づくこともできる。（やっぱり当時これらの曲を書いたソングライターの人達も、歌って見事なマイケル・ナンバーにしていったマイケルも、ほんとにプロで素晴らしいスター／エンターテイナーだったと思う。）

曲目を見たときは 「わざわざボサノヴァにせんでも ・・・」 と思った 「ブラック・オア・ホワイト」 も聴いてみるとかなり楽しかった。（ぜんぜんちがうよ ！ と笑われそうだけど、この 「ブラック・オア・ホワイト」 のヴォーカルはリッキー・リー・ジョーンズがミーハーになったような・・・）。どこかポール・マッカートニー風の男性ヴォーカルで歌われる 「ザ・ガール・イズ・マイン」 もにくめない。

この19トラックのうちの何トラックを気に入るかは聴く人次第だと思うので星は四つにしてみますが、マイケルとマイケルの曲が好き、そして軽めのアレンジのボサノヴァも好きという人ならいくつか相当気に入るトラックが見つかるかもしれないコンピレーション。（僕自身は冒頭の四曲 「Bad」→「Thriller」→「Man in the Mirror」→「Rock with You」 を続けて聴くのがとても心地いいと思った。この 「Bad」 も 「Rock with You」 もとても良く、そしてまたマイケルの歌っているオリジナルを聴くのも楽しくなる。）