手広く使える街道事典
★★★★☆
そのタイトルの通り古街道の事典的内容で、東海道などの著名なものから、
権兵衛街道のようなマイナーなものまで、多くの街道を網羅している。
同じ街道でも県別に分けて収録しているので、検索も楽だ。
五街道などの主要街道では、沿道風景と歴史を特に詳細に紹介している。
その道程における細かい発見は、クルマの旅では見落としてしまう
ところであり、「歩く」ということにこだわった著者の特色が出ている。
マイナーな街道でも概要は収録しており、なかなかに便利。
残念なのは、一部の著名な街道以外には地図がついていないところ。
いまやルートが明確でないものもあるが、概要図くらいは欲しかった気がする。
それは紙数の制約に違いなく、お陰でこの数を収録しながら
この値段(2,200円)で済んでいるのだから、そこは贅沢は言えないところか。
まぁ、街道名と現在の地図をつき合わせて見ればいいだけの話。
もっと詳しく知りたければ各自治体の教育委員会が編纂する
「歴史の道調査報告書」を参照すれば良い。
街道好きのベテランには手軽な備忘録として、
道についてもっと知りたい、という人の入り口として、
またドライブやウォーキングの友としても使い手のある本である。
地域史に興味のある人にも、面白く読めるだろう。
事典+街道踏破記としてのコストパフォーマンスを考えれば、
まずまず満足できる一冊かと思う。