取り上げているのは「戦略」「マーケティング」「組織」「会計」「コーポレートファイナンス」のMBA必須5科目で、最後に「トピックス」としてSCM(サプライチェーン・マネジメント)などの3テーマを加えている。見開き1テーマで、それぞれに「もっとも効率的な組み合わせを考える(マーケティング・ミックス)」「この期間、いくら稼いで、いくら損をしたのか(損益計算書)」といったわかりやすいタイトルをつけている。
戦略の意義や構造から、経営理念、環境や市場などの分析、競争戦略へと続く「戦略」では、たとえばPPMでキヤノンを、SWOT分析でNTTを、ポーターの「3つの戦略」で自動車業界各社を取り上げている。環境分析から市場・顧客の選定、マーケティング・ミックスへと続く「マーケティング」では、キリンの発泡酒「極生」の事例を軸に解説するほか、「組織」でも、ソニーのカンパニー制や日産の組織変革、ソフトバンクのストックオプション制度などを紹介している。
また、図を駆使することで、「会計」では財務諸表から損益分岐点分析までを、「コーポレートファイナンス」では時間的価値や資本コストからDFC法までをわかりやすく解説している。ここでも、財務諸表や株価収益率(PER)の事例を載せており、参考になる。身近な生きた事例が魅力の1冊。(棚上 勉)