【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:詠坂雄二/著 出版社名:光文社 発行年月:2009年09月 関連キーワード:デンキ ニンゲン ノ オソレ モンスタ- サプライズド ユ- MONSTER SURPRISED YOU〕 でんき にんげん の おそれ もんすた- さぷらいずど ゆ- MONSTER SURPRISED YOU〕、 コウブンシヤ コウブンシヤ 2271 こうぶんしや こうぶんしや 2271、 コウブンシヤ コウブンシヤ 2271 こうぶんしや こうぶんしや 2271 マイナーでローカルな実話怪談をめぐって、連続する不審死。…たぶん、動機は、強烈な孤独。大胆不敵の長編ミステリー。
個人的には好き。ただ、一般受けはしないような気が。
★★★★☆
詠坂雄二の3作目の作品。
今回の舞台も前作と同じ舞台。冒頭の部分で、一部前作とオーバーラップするような記述があるが、今作とは特に関係はない。内容、或いは本の作りそのものに関しては、前作の方がよりインパクトは強いと思うが、この詠坂雄二という作家の独特の世界観は今作でも十二分に発揮されている、作り込まれていると思う。したがって、前2作、『リロ・グラ・シスタ―the little glass sister』、『遠海事件』を気に入った人間ならば、かなりの確率で今作も気に入るだろうし、逆ならば、やはり今作についても同じだろう。
“綾辻行人の推薦文が貰えるような”(笑)ミステリ作家の第三長編
★★★★★
遠海市限定の都市伝説〈電気人間〉。
電気人間は、〈語ると現れる。
人の思考を読む。
導体を流れ抜ける。
旧軍により作られる。
電気で綺麗に人を殺す。〉といった存在らしい。
そして、遠海市で、電気人間がかかわったような連続変死
事件が発生する。果たして本当に電気人間は実在するのか?
都市伝説の追究のその裏で、作者会心の仕掛けが同時進行している本作。
先に挙げた電気人間の特徴も、その仕掛けのかなり大胆な伏線なのですが、それが
どう機能しているのかを読者に勘付かせないようにミスリードしているのが巧妙です。
また、各章の冒頭で必ずある言葉が発せられていたり、地の文においてある記号
を使うことで仕掛けを暗示したりと、絶えずフェアであろうと努めているのも好印象。
真相が開示されるページのレイアウトに託された××に対するオマージュや、
前作にもあった、巻末の広告でのお遊びなど、細部まで凝りに凝っています。
とはいえ、さすがに最後の二行の確信犯的なヨゴレっぷりには、ドン引きする読者
も多いのではないかと懸念されます。まあ、それが作風といえばそれまでですがw
将来は和製ラファティ?
★★★★☆
地域限定の都市伝説「電気人間」にまつわる連続する変死の謎を描いたミステリ。電気人間を追跡する複数の人物が登場するが、特別に感情移入できる者もなく、ひたすら電気人間の謎に関する「かたり」で読者を引っ張っていきます。終盤にあるサプライズが仕掛けられていて、物語は(意外に)かなり綺麗に着地します。都市伝説として語られている電気人間の属性という「ルール」の中で、誰が、なぜ、どうやって殺したのかが、若干の謎を残しながらも解き明かされます。サプライズそのものは過去に何度も使われてきたものなので、びっくりしない人もいると思いますが、一読してから全編を眺め直すと、作品全体が実に緻密に構成されていることに驚きます。例えば、25ある章は、見開きの左ページ最終行で終わり、したがって、各章は必ず見開き右ページの冒頭から始まります。これにどんな意味があるかは読み終えるまでにちゃんとわかります(文庫化する時には文庫の体裁に合うように改稿するのでしょうか…)。他にもすべての章に共通するルールがあり、そのように書かれなければならない理由もあったりします。そういったところを微に入り細に入り楽しめる読者にはお薦めの一冊だと思います。解かれる謎と、放り出される謎のバランスや、物語のかたり口も巧妙で、是非将来は和製ラファティとでも呼べる存在になって、豪快なホラ話を連発していただきたいという気分になりました。
蛇足ですが、多くの登場人物の名前が昔(1980年代とか)の「週刊少年ジャンプ」に因んでいるようですが、全部がそうなのかは私にはわかりませんでした。
電気人間 対 ダメ人間
★★★☆☆
ヒネクレ者ぶりで独自の地位を築きつつあるもののヒネクレ過ぎて受け入れてくれる読者の少ない感のある本格ミステリ作家、詠坂雄二氏の書き下ろし作品。
「語ると現れ」て「電気で奇麗に人を殺す」という”電気人間”の都市伝説そのままに、電気人間について調べていた人物やその関係者の間に発生する三つの不審死。
「電気人間討伐」と称してそれらの不審死を雑誌のネタにしてやろうと立ちあがる雑誌ライターと、それに付き合わされるライター兼作家の「詠坂雄二」。
ダメな大人二人は電気人間の真実に辿り着けるのか、というストーリー。
登場人物である詠坂雄二のセリフの中には、これはそのまんま作者の声なんじゃないかという部分がちらほらとしていてなかなか面白いのですが、やはり一番の見所は詠坂のヒネクレまくったダメ推理。
この推理のなにがヒネクレているかといえば、「本当の真実なんか最初からわかるわけないんだから、先輩である雑誌ライターが納得すればそれでいい」ということを土台として積み上げられているということ。
まっとうな本格ミステリの推理ではなかなかこういう方向性の推理にはならないでしょう。
そしてまっとうでない推理ではまっとうな結末に辿り着けるわけもなく、そして物語はまっとうな終わり方をしないという、全てがヒネクレまくったこの作品世界は、正直人を選ぶと思います。
おそらく読み終わった方は「スゲー!」と思うか、「もっと”条件”が厳しければ凄いと思ったのになぁ」と思うか、「えーなにこれ意味不明」と思うかのどれかでしょう。
僕は二番目の感想だったので星は3つです。