【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:山田規畝子/〔著〕 出版社名:角川学芸出版 発売所名:角川グループパブリッシング(発売) シリーズ名:角川ソフィア文庫 SP L-115-1 発行年月:2009年11月 関連キーワード:コワレタ ノウ セイゾン スル チ カドカワ ソフイア ブンコ L-115-1 こわれた のう せいぞん する ち かどかわ そふいあ ぶんこ L-115-1、 カドカワガクゲイシユツ カドカワグル-プパフ 0946 かどかわがくげいしゆつ かどかわぐる-ぷぱふ 0946、 カドカワガクゲイシユツ カドカワグル-プパフ 0946 かどかわがくげいしゆつ かどかわぐる-ぷぱふ 0946 3度の脳出血で重い脳障害を抱えた外科医の著者。靴の前後が分からない。時計が読めない。そして、世界の左半分に「気がつかない」…。見た目の普通さゆえに周りから理解されにくい「高次脳機能障害」の苦しみ。だが損傷後も脳は驚異的な成長と回復を続けた。リハビリをはじ
すごい。
★★★★☆
著者の山田先生のその生き方は「すごい」の一言です。
私自身も高次脳機能障害を抱える一人です。
ただ、障害部位から症状は、他人からは見えず、非常にわかりにくく、まさに高次脳機能の部分です。
(先生が、高次脳機能障害とは、認知や記銘など人間だけが持つ脳の働きを障害されること。
だから下等動物にも起こる麻痺などは高次脳機能障害に含まれないと解説されていますが)
例えば、こうやって文章を書くのにも
文と文を構成したり、適切な表現を選ぶことなどに困難さを感じます。
障害前と比較し、何か屈辱的な、鬱々とした気分になることも多々あります。
山田先生のように、障害部位が広い場合、その言葉以上にどれだけの困難さを感じておられることでしょう。
自分自身が困難さを感じる身だからこそ、明るく軽やかな文章の向こう側にある苦労が痛いほどわかります。
それだけに「すごい」の一言です。
医者の一族で、御自身も医師と、経済的、理解ある人的サポートがあったとはいえ、
その前向きな姿勢はやはりすごいです。
息子さんに宛てた本著最後のメッセージを読んで、
「もやもや病」による脳血管発作の再発に脅かされながら、毎日を生きている山田先生の心中を思い、
涙が止まりませんでした。
人間のからだ・脳の精緻さ,タフさに驚かされる
★★★★★
高次脳機能障害をもつ「医師」の記録。
モヤモヤ病による脳出血・脳梗塞により,右頭頂葉を中心にダメージを受ける。自身の視覚失認や記憶障害,半側空間無視などの症状の描写は圧巻。想像を超えている。言語能力が残っていたとはいえ,これだけの文章をまとめるのは相当な苦労だっただろう。
脳卒中が一般的なことであるにもかかわらず,意外と知られていない高次脳機能障害。
神経心理学,認知神経科学の一般的読み物として非常に優れたものといえる。また,医療現場関係者にも高次脳機能障害患者の内面,およびニーズを知るうえで有益だろう。
見る,歩く,読む,話すなどなど,自分が苦労せずにできていることは,じつは非常に繊細な脳のメカニズムのうえに成り立っているのだともいえる。あらためて,人間のからだ・脳の精緻さ,タフさに驚かされた。
"高次脳機能障害者"の日常生活とリハビリを患者&医者の目から綴る奇跡の書
★★★★★
本書は「壊れた脳 生存する知」(2004年 講談社刊)の内容を大幅に見直し、新たに「文庫版序文」と「文庫版あとがき」を加えて文庫化したものです。(同書刊行後の著者の新たな回復の様子が加筆されています)
3度の脳卒中で"高次脳機能障害"を患った女性医師の日常生活とリハビリの様子が、患者として/医師として、淡々と綴られています。本評者はコミック版を読んでから本書を手にとりました。内容を予め知っていたとは言え、やはり衝撃的な内容でした。彼女が経験した"視覚失認"は「46年目の光 ― 視力を取り戻した男の奇跡の人生」の記述とも不思議なほど共通しています。(モノが見えてもはっきり認識できないところや、触覚で認識が明瞭になるところ、など) その他、様々な認知障害は脳神経科医オリバー・サックス氏の著作で登場した患者たち(「火星の人類学者」「妻を帽子とまちがえた男)」)を想起させます。
脳が壊れ、心まで壊れそうになっても、壊れずに残った脳(知性)を頼りに、懸命になって新しい人生を切り拓いていこうとする主人公の姿に心を打たれます。"息子への手紙"には涙を禁じえませんでした。そして、著者が「ラッキーマン」(パーキンソン病を患ったマイケル・J・フォックスの自伝)を読んで、確かに病気になってラッキーだと思えることがある、と言い切る"心の強さ"には頭が下がりました。「ラッキーマン」には、
「神様、自分では変えられないことを受け入れる平静さと、
自分に変えられることは変える勇気と、
そして、その違いが分かるだけの知恵をお与え下さい。」
というフォックス氏の祈りの言葉が記されていましたが、本書の行間からも同じメッセージが伝わってきました。「決して あきらめないで!」と… "生きる勇気"をもらえる好著です。
「脳が壊れた者にしか分からない世界」がよく描けている。
★★★★★
「壊れた脳 生存する知」の内容を原案としたコミックです。3度の脳卒中で高次脳機能障害を患った女性医師が外部世界をどのように認識し戸惑ってしまったのかが、よく描けています。彼女の戸惑いは"46年ぶりに視力を取り戻した男"の戸惑いとかなり共通する処があり、興味深く思いました。(また「火星の人類学者」や「妻を帽子とまちがえた男」で登場した"高次脳機能障害者"たちの姿ともオーバーラップしました。)
脳が壊れ、心まで壊れそうになっても、壊れずに残った脳(知性)を頼りに、懸命になって新しい人生を切り拓いていこうとする主人公の姿に心を打たれます。息子を心の支えにして立ち直っていく姿に、感動を覚えました。(ToT)
【追記】この原作は2009/11に文庫化予定です。
【追記2】山田先生のホームページ情報(2009/9/11)によれば、本コミック版は近日中に絶版になってしまう(流通しなくなる)運びとなったそうです。
右脳崩壊から回復への道のり
★★★★★
今話題の、『奇跡の脳』といっしょに読んでみると
また新たな発見があるかも・・・と、ひさしぶりに読み返してみた。
すでに多くのレビューで書かれている通り、
ある医師(著者)が、脳卒中になり、その体験から、
地道なリハビリ(この著者、すごいです!!! 感動します!!)
を通じて成長し直していく感動の物語。
『奇跡の脳』の著者は左脳が、本書の著者は右脳に障害を持った。
同じ脳卒中でも、もちろん、その障害の場所によって、
体に及ぼす影響もことなる。
そういう意味で、本書と、『奇跡の脳』の両方を読むのは
とても参考になるし、また、患者視点ではなく、医師からの視点という意味で、
『脳から見たリハビリ治療』も含めて3点セットで読むのが、個人的にはオススメ。
また、「バリアフリーとはなにか」という意味で、
お役所の方々にも、ぜひ読んでもらいたい一冊。