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戦時演芸慰問団 「わらわし隊」の記録―芸人たちが見た日中戦争 (中公文庫)

価格: ¥940
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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何が書きたかったのですか? ★★☆☆☆
 太平洋戦争中に吉本興業の芸人たちが、中国の上海や南京の前線で奮戦する兵士たちの慰問に行ったことは世間では知られているのだろうか。
当時のお笑い界の人気者、横山エンタツ、花菱アチャコ、ミスワカナ、柳家金語楼、柳家三亀松らが「わらわし隊」という名前で中国の前線に慰問に行ったのである。
(わらわし隊は当時日本の航空隊が「荒鷲隊」と呼ばれていたことにかけている)

 大人気芸人たちが中国の戦闘地のすぐ近くまで駆けつけてくれたとあって、兵隊たちは大喜びで、ものすごい数の兵隊が演芸の行われた会場(それは病院や小学校の講堂、後に野外ということもあった)に押し寄せたようだ。
そして会場は大爆笑に包まれ、時には芸人の話に故郷を思い出して涙ぐむこともあったという。
漫才をやっている舞台の上まで兵隊があふれていたり、講堂に入りきれなかった兵隊たちが窓によじ登って舞台を見ている写真がある。兵隊たちの顔が皆笑っている。

 本書はこのわらわし隊の動きを追いかけて、かなりの資料にもあたった労作である。
ただ残念なことにこの作者は文章が書けない人で、おまけに文章の間違いが頻繁に出てくる。
また、話があっちへとんだりこっちへとんだり、一体この人は何を書きたいのかわからない。
戦争についてのあるいは日中関係についての作者の私見が突然出て来たり、安っぽい歴史観をかなりのスペースを割いて書いていたりする。
肝腎のわらわし隊のことについてはさっぱり読み応えがない。
この作者は要するにこの本で何が書きたかったのか。
わらわし隊の芸人たちのことをもっと深く掘り下げ、芸人と兵隊たちとのふれあいの様子などわらわし隊に絞っていれば随分すっきりとして感動も大きかったと思う。
わらわし隊というタイトルを付けるなら、必要でない記述が多すぎる。
わらわし隊という獲物が大きすぎたのだろう。
大きすぎてどこから手をつけていいかわからなかったようだ。
この人には「世界の日本人ジョーク集」ぐらいがいいのかもしれない。
あれは私見をはさむところがなかったし。
丁寧で貴重な取材と検証の記録をありがたく読む。 ★★★★★
日中戦争の発端となったといわれている「盧溝橋事件」の舞台となった地を訪れた著者が、現地の中国人女性から、

「あなたは日本人として、いまここで謝罪しなさい」

と言われる場面があるのだが、その際に著者の取った毅然とした全くぶれのない態度に、わたしはとても驚くと同時に、私自身が、そういった場面で明確な意志で答えられる何の意見も持たず生きてきたことに気づく。

日中戦争のことも戦後の日本と中国のこともあまりにも、何も知らずにきてしまった。果たして、この本をこのまま読み進めていっていいものかどうか、一瞬悩んだ。大きな宿題を小脇に抱えたような状態で、そのまま読み進めてみると、まさにこの小脇にある宿題そのものが、著者が読者に語りかけようとするひとつの大きなテーマとなっていた。主に第4章で、展開されていく。

「A級戦犯」という言葉や「東京裁判」という言葉を、観念的に、戦時中の極悪な日本をあらわすものとしてしか捉えていなかったことは、日本人として、なんとも皮相な態度だと、痛く反省。毎年のように8月が近づくと、公職者の参拝について取りざたされる靖国問題についても、たいした根拠も持たず何となしの意見をかざしてきたような、いい加減なわたしのような人間には必読だけれど、これからの日本を背負ってたつ、若い世代の人たちがこういう本を読んでくれたらいいなと思う。

戦争や戦争責任といった重くて難しいテーマを扱いながらも、わらわし隊の行動の経緯を追い続けることで物語の背後に終始聞こえてくる人々の嬉しそうな笑いさざめきや、著者が取材を通じて出会う人々との関わりに見えるあたたかさといった人間味ある体温の中に、自然と読み手を引き込んでいく筆の運び方が秀逸だ。

戦争というのは、災害でも事故でも見知らぬ生き物の仕業でもない、われわれ人間自身の行為なのだ。だから、私たちは自分自身で、戦争の悲惨さや酷さを直視し、歴史をきちんと知っていく必要がある。そう強く感じる本である。
芸人視点の戦争 ★★★★★
戦地に慰問、吉本興業の歴史は古い。戦時中においても笑いは需要があって中国は南京にも訪れていた。荒鷲隊をもじったわらわし隊が見た戦地の兵隊さんは鬼なんかではなく普通の人間、新たな視点で南京大虐殺がまた捏造だったことが証明される。
戦場の笑顔とその裏の苦悩 ★★★★★
 「わらわし隊」の名前は聞いたことがあったが、その詳細は知らなかった。この本によってその日程やネタの内容、現場の雰囲気などを知ることができた。
 戦場で漫才を聞いた兵士たちは、よく笑い、そしてよく泣いたそうだ。私は実際の戦争を知らないが、なんとなく共感できる気がする。兵士といっても普通の人間なのだから。
 
 本書を通じて、戦前戦中の日本の演芸界にとても活気があったこともわかる。そんな「お笑いブーム」からあの戦争に突入していったのだ。

 データは詳しく、正確で、著者の冷静な歴史観も好感が持てる。プロフィールによれば著者は30代らしい。次世代の新しい書き手が着実に育っている。
貴重な記録だが、著者のずさんさが気にかかる ★★★☆☆
今まできちんとした形でまとめられていなかった、「笑わし隊」の記録を一次資料からまとめた労作だが・・。著者の書きぶりに「ひっかかる点」が多くて、読むのに苦労する。

たとえば「すべからく」の誤用とか、「三方一両損」の説明が間違えているとか・・。

また、この本の取材で天津の書店に行った際、「戦争関係本を買おうとしたら、中国人店員から『日本人なら買うまえに謝れ』と言われたが、私個人が誤る必要はないので、断固ことわった」と手柄顔に記してある。そんな著者のプチ・エピソードは、この本と全然関係ないから、不要。

それに柳家金語楼についての取材を、次男で歌手の山下敬二郎にしているが、取材するなら長男で金語楼についての著書もある、作家の山下武にすべきだろう。

それと、これは著者の責任ではなく、「中央公論新社」の問題だろうが。講談の「神田盧山」がずっと「神田ろ山」と表記されている。中央公論社が読売新聞の配下になって、「漢字の基準」を読売新聞にあわせたせいなのだろうが、「固有名詞」なんだから「ろ山」はないでしょう。
「強かん」という表記も出てくるし・・。新聞なら「仕方ない」んだろうが、学術書的な本も出す中央公論新社の漢字表記を「読売新聞にあわせろ」というのも無茶な話だ。

こういう「ひっかかる点」が多すぎる、困った本なのであった。