キャスティングは褒められるべきところだけれど。
★★☆☆☆
3部作60億円という邦画では異例の予算で作られる第1章。浦沢直樹の同名漫画が原作。
原作との相違やオミットは小説や漫画の原作があれば当たり前のことだが比較的忠実に作られている。特にキャラクターにおいては原作からそのまま飛び出してきたかのよう(子役においても)で、次々に出てくる有名どころの役者や芸人を見ているだけでも楽しい。友情出演並の数秒のカットに次々と出てくるので見つけた時の喜びもあるだろう。
ただ、これってレビューできんのかな?原作を追っているだけで映画の意味は?って感じ。つまり映画にする意味はと問いたい。脚本がない時代だからこそ賞金にしてでも良い脚本家を見つけるべきだ。
この作品はお化け屋敷に似ている。偽物と分かっていても『よく出来ている』=似た出演者、無駄なCGで何だか楽しい雰囲気を味わうのだ。映画が芸術や美術と捉えるだけの人には向かないのは当然。
しかし、如何せん『浦沢直樹』なのだ。彼の原作を読んでいる人なら分かるだろうが、映画やドラマにするのはとても難しい。あの素晴らしいストーリーと画の調和は漫画の紙面で力を発揮する。脚本や音楽で協力するなど前向きな姿勢を見せてはいるが、なんだか日テレのお祭り騒ぎに付きあわされた感は拭えない。
前半の謎めいた雰囲気はかなりよかった
★★★☆☆
この映画のストーリーの基本的な着想は、たいへんおもしろいと思う。子どもの頃に、仲間うちの空
想物語として書かれた「よげんの書」が、大人になって、自分の知らないところで実現していくという
アイデアは、かなり独創的な発想だと思う。
また、ある特定の人間を"ともだち"と呼ぶという設定もなかなか斬新である。
子どもの頃のシーンは、かなり懐かしく描かれている。今となっては忘れてしまっていた、駄菓子屋
や、友達同士の子どもながらの人間関係などを思い出した。
そして、お面をつけた子どもが登場するが、お面をつけているだけで、こんなに不気味な雰囲気を醸し
出せるとは、新しい発見だった。
映画の初めの方は、現実社会でもありうるような話の展開で、新興宗教やそれによる失踪事件、いたる
ところに出現する、子どもの頃に考えたシンボルマーク、ドンキーの死、羽田空港爆破など、非常にミス
テリアスで、質の高い推理ものを見ているようで非常におもしろかった。
しかし、それが、次第に首をかしげる展開になっていった。そして、巨大ロボットが出てきたりしたあ
たりで、がっかりした。原作の世界ではそれでいいのだろうが、映画のそれまでの世界観からすると、あ
まりに飛躍した、作品のそれまでの流れを壊す不自然なストーリー展開だと思った。それは、もう過ぎ去
った2000年には、こんなことは絶対に起こりえなかったことも一因だろう。原作から離れてでも、前半の
ような世界観のまま、話をシリアスに展開すれば非常におもしろい映画になったのではないだろうか。
また、やはり、これだけ多くの人物が登場し、個々のエピソードが語られると、普通に見ながら話の展
開についていくのは困難で、何か工夫が必要だったのではないかと思う。
それから、子役と大人になってからの俳優がなかなか似ている。よく探したなあと感心した。
日本映画として新しい挑戦を評価したい
★★★★☆
日本映画ではなかなか3部作というのは勇気がいったと思う。それもこの『20世紀少年』だからこそ、合意が得られ、できたに違いない。
なかなか原作に勝つのは時間的制約から難しい。どうしても雑になっているところはある。しかし、基本的にCGを駆使して、非常に日本映画の
なかでもある種の新しさを感じ取った。それは原作のクオリティの高さに助けられている。
「20世紀少年」は1960年代から70年代のノスタルジー(郷愁)を描いたようにも見えるが、それだけではない。第二部に登場する、日本の高度成長を象徴する「万博」をともだちが作りあげたということに見られるように、これは科学と進歩にたいする1つの警鐘なのである。科学技術の進展が生み出す負の側面、人間の憎悪が結果的にはウィルスをまきちらすという悲惨な人類破滅を見せているのは、そういった事情による。「ともだち」は20世紀という時代が生み出したわれわれ人類の姿を投影しているにすぎないのである。それがいわゆる世紀末論との重なりのなかで、1つの時代の終わりをペシミスティックに描き出すのである。あるいはオウム真理教以降の振興宗教の興隆とテロリズムを想定することもできよう。
この原作は手塚治虫に匹敵する一種の傑作といえる。それを映画化したそれ自体の試みは高く評価したい。なかなか上記の問題提起がふつうの人に理解されているとはいいがたいが、日本映画として歴史上残しておくべき大作であろうと思う。
書き換えられる「よげんのしょ」
★★★★★
小学生の残酷さと復讐と再生の物語の開幕です。
『20世紀少年』の映画版の開幕であり、本作のみでは消化不良の恐れがあります。
布石として鑑賞する必要があります。
ワラワラ
★☆☆☆☆
知識がないと全くわからないと思います。
逆に知識があれば
「よく再現できてるな」
って感じです!
まあ、映画としては駄作です。観て損します。