村上春樹論の終焉: 付録・村上春樹論ベスト5&ワースト5 (雪かき文庫)
価格: ¥0
編著書である『村上春樹の100曲』 http://amzn.asia/e8BExNs が先日2018年6月15日に立東舎(リットーミュージック)から発売されました。
それを記念して、というより便乗して、『ユリイカ』2011年1月臨時増刊号「総特集☆村上春樹 『1Q84』へ至るまで、そしてこれから…」に発表した評論文「村上春樹の終焉」を電子書籍化してみました。『1Q84』の発売を受けて組まれた特集です。
約2万字、400字詰め換算で50枚ほどの分量を、EPUB3に準拠した縦書き電子書籍として作成しました。巻末付録は、村上春樹論のベスト&ワーストをそれぞれ5冊ずつ栗原が独断で選び、どこがどう良くて、どこがどうダメなのか、手に取るようにわかるレビューをつけたブックガイドです。
村上春樹は、世界的作家であるからという理由だけでは説明がつかないほど数多く論じられてきており、この原稿が書かれた2010年当時で、120冊ほども春樹だけを論じた本が出版されていました。それから8年が経ち、以後は数えておらず把握していないのですが、現在ではヘタしたら2~300冊くらいあるかもしれません。
普通の読者はそんなものあんまり読みませんよね? ましてや主だった本に目を通そうなんて考える人はまずいませんよね?
じゃあ、おれがやるよ! ということで読んで書いたのがこの「村上春樹論の終焉」です。
村上春樹はどんなふうに語られ始め、誰のどんな批評が価値をかたちづくってきたのか。はたまた春樹は文壇でどんなふうに扱われてきたのか、批評家たちは春樹をめぐってどんなバトルを繰り広げてきたのか。春樹論バブルはいつどのようにして始まりどう推移してどうなったのか、などなど、村上春樹論を通して、村上春樹という現象の蠢きの素描を目指した、一種の、そう、愛と憎しみと悲しみに彩られたドキュメンタリーとして読んでいただければ幸いです。
面白かったら、『村上春樹の100曲』もぜひよろしくお願いします。
【目次】
村上春樹論の終焉
村上春樹論前史、あるいは「とんがり焼の盛衰」
『ノルウェイの森』現象と変化する「空気」
村上春樹をめぐる批評党派的対立
蓮實『小説から遠く離れて』と柄谷『村上春樹の「風景」』の明暗
批評的アノミー、そして終焉へ
付録・村上春樹論ベスト5&ワースト5