おもしろすぎる。。。
★★★★★
夏編に続いて、秋編も読みました。
とにかく、面白すぎる。
少々、付添いの女性とその子供に対して、異常ともいえる冷たさ、暴力が「ちょっと、、、」って感じはするけど、それは、作者のわざと読者に毒をもっておいて、余計に後から心に響かせるという反則スレスレの技と言うことで納得しています。
今回は警察と任侠団体の宴会が重なり、はたまたその中に売れない歌手の悲哀な物語もあり、
この何重にも絡まった話を一気に読ませる作者の力量には相変わらず敬服します。
実際の世の中は、人情が薄くなっているけど、この小説を読むと人情は日本社会にはとても重要な要素、また、日本人が世界に誇る文化だなあ、、、とつくづく思います。
人情味のある人間になりたいと思う 小説です。 ドタバタ小説ですが、お薦めですよ。
おとぎばなし
★★★★☆
このシリーズは、現実にありえそうで実はどこにもないおとぎばなし だと思う.
ガラの悪いトンデモホテルなのに、人生に行き詰まった宿泊客に救済を与える。登場人物に本当の悪党がいない(多くの登場人物がカタギでないのにもかかわらず)そして、コミカルなドタバタ劇の中に、どこか性善説のような宗教的な趣きさえ感じられる。
読み進めていくうちに、多くの登場人物の人生の光と陰を見いだし、その中にかならず自分と重ねられる部分を見つけて、読者自身も救済されていく、そんな不思議な本でした。
冬、夏、春、秋と順不同に読みましたが個人的には秋がいちばん印象深かったです。ミカが描く秋の絵がビジュアルとして脳に焼き付けられたからでしょうか。
なんとなく手がのびなかった浅田次郎の作品ですが、これを読まないのは人生の損失だと思います!
更なる奇想天外な設定で笑って泣かせる傑作
★★★★★
シリーズ第二作。シリーズの中で最長を誇ると共に、奇想天外な設定で大いに笑わせてくれる。笑いと共に泣かせ所を心得ているのは、浅田氏ならではであろう。最終巻(春)の結末以外は浅田氏特有の"あざとさ"がないので素直に楽しめる。
ヤクザが任侠専用ホテルを経営すると言う設定自身が奇想天外なのだが、今回は馴染みの任侠一家と共に、警察署の一行も同泊すると言う設定で笑いを飛躍させる。この対応に右往左往する従業員の姿がオカシミを誘うが、支配人花沢は相変わらず毅然とし、若頭の黒田の渋さも相変わらず。従業員のうち、アニタなど外国人は平然としていて、当然とは言え、皮肉が効いている。一見、荒っぽい設定の中で、登場人物一人々々に細かい気配りをしているのだ。そして、互いに相手に気付いた警察署一行とヤクザ一家の振舞いも抱腹絶倒。警察組織とヤクザの組織の体質が似ている事への痛烈な風刺が効いている。サブ・ストーリーで語られる元アイドルと愛人の話は泣かせるもので、物語にアクセントを付けている。私がシリーズの主人公と思っているエキセントリックな小説家木戸は本作では影が薄いが、やはり木戸とその愛人の清子、そして叔父でホテルのオーナーの大親分仲蔵と木戸の母。この四人の関係がシリーズの主旋律を奏でている事が窺える。
全体の構想がズバ抜けている上に、木戸や花沢の性格設定、登場人物間の錯綜した関係、客達の秘められた事情、小刻みなギャグの連発によって無条件に楽しめる娯楽小説になっている。特に本作は警察署一行の来泊と言うトンデモナイ設定を加え、ずば抜けた面白さを誇るエンターテインメントの傑作。
傑作
★★★★★
シリーズものはとかく2作品目が1作品に比べ面白さがダウンするものであるが、本作品は前作品並もしくはそれ以上の面白さ。
やくざと警察がプリズンホテルで隣り合わせて宴会してしまうという発想はかなり面白い。
ボリュームがあるが短編集のような構成になっているため、途中で読むのを中断し数日後再び続きを読み出しても問題ない点が良い。
途中で挫折のない作品です。
シリーズ3作目となる「プリズンホテル3 秋」を早速読み始めた。
パワーダウン、さびしい。
★★★☆☆
夏から始まったこのシリーズの第2段。
警察とやくざの微妙な接点は、作者の実体験によるのかもしれないが、この作者には「きんぴか」と言うこの問題を扱った完璧な作品が存在するのであるから、それを読んでる人間には、二番煎じ、、三番煎じとしか思えない。
非日常を日常に取り込む稀代の話術氏も、同じ題材で何度も、同じ話を作り替えるには、無理があったようである。
残念だ。