魔美の妖しい魅力。
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主人公の魔美がとっても愛らしいですね。
思春期の女性の魔力のような魅力を備えています。
藤子Fさんは、黄金の舞台装置と言いますか、父、母、友人の家庭パターンを上手く使われます。
発想の原点が、自宅の机の前なのじゃないかと推測しています。
「エスパー魔美」も藤子F先生の黄金パターンなんですが、女性の主人公は珍しいですね。
魔美は、活発だけどちょっとオッチョコチョイ。料理は最悪でも、父親の絵のモデルをしている、といった具合に、アンバランスな魅力を備えています。
藤子F先生が幼い頃、憧れた女性の面影ではないかな、などと思っています。
多分、藤子F先生だけでなく、中学生頃の男子生徒が憧れる女性の典型なのだと思います。
ゲスト出演
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藤子・F・不二雄先生の作品はいつまでも色褪せることがなく、エスパー魔美もその内のひとつです。
この巻では、ドラえもん達が少しだけどもゲスト出演しています。そしてあの有名な漫画家さんも(笑)
このような事は他の作品でも見ることができ、そんな遊び心を持った先生が私は好きです。
貫禄が出てきた高畑君
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第一巻における、高畑君の「もやし」っぷりにはいささか愕然としたが、第二巻から少しずつ貫禄が出てきており、アニメーションのような頼りがいのあるナイスガイへと成長している。
主人公である魔美は相変わらずそそっかしいというか早とちりというか。しかしこういう人がいるからこそ、世の中平和なのではないだろうか。女も男も愛嬌でいいではないか。現在の我が国は些細なミスすら許さず(それを許さないお方々ですら、毎日のようにミスや不正をしているではないか)、息苦しい。私は高畑君の対極にいるので、尚更そういった思いが強い。文型で頭の鈍い私にとって、高畑君は理想像に近いものがある。いや、そういう趣味があると誤解されては困るのだが。
話が逸れたが、いつものように温かい人間ドラマが展開されている。日本人が忘れかけている大事なものを、過去の作品が思い起こさせてくれるのは皮肉か、それとも今は亡き人々からの心の救済か。
エスパー魔美の基礎知識・その2
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主人公・佐倉魔美は中学生。フランス人の血を引くためか、真っ赤な髪をしている。先祖には、魔女狩りで殺された人もいたらしい。
魔美の身にそなわった超能力も、そんな祖先か受け継いだものかも知れない。
おっちょこちょいな魔美だが、超能力を世のため人のために使うことを決意。しかし、あぶなっかしい。
そんな魔美をフォローするのが、同級生の高畑和夫だ。のんびり、もっさり、さえない男の子だが、めっぽう頭が良く、正義感も強い。高畑くんのアドバイスで、魔美は何度もピンチを脱しているのだ。
ところで『魔美』には、プロトタイプがある。1974年、「少女コミック」に掲載された読み切り短編『アン子、大いに怒る』だ。赤い髪、超能力、画家の父親など、『魔美』に含まれる要素の基本はそろっている。が、いささかキャラクターは地味だ。マミ公の魅力あってこその『エスパー魔美』なのだと、つくづく思う。