総花的だと思ったり特定項目について深い内容を求めると肩透かしを食うかもしれないが、内容的にも網羅的でポイントを抑えたものになっていると思う。特に管轄権の説明などで図で説明している点は国際法を理解する上の手助けとなる。また導入部分に「竜馬がゆく」などの書物で国際法に関係ある一説を引用し、初学者向きといえるだろう。
判例の解説が若干わかりにくい部分もあるが、『国際法判例百選』と併せて読むと理解度が深まる。ページ数から考えても完成度が高く使いやすい。
他の国際法の教科書は,本書の二倍くらいの厚さだったり,ニ分冊になっていたり,共著だったり,持ち運びに不便だったり,記述が詳細過ぎたりといった場合があるため,使い勝手がいいとは必ずしも言い難い.本書は国際法上の問題点や概念をちょっと確認したいときに便利である.逆に言えば,理論的な論点が全て網羅されているとは言い難いわけだが,それは分量的に仕方が無いと言えるだろう.国際法に本格的に取り組む最初の一冊としては最適だと思う.本著を読んだら,ブラウンリーや田畑茂二郎先生や山本草二先生などの教科書を読んだ後,論文を読んで行けばいいだろう.
内容面をみると,抽象的理論的な記述に終始するのではなく,歴史上実際に起こった事件を具体例として挙げていることが多いため,非常に理解を助ける.
国際法を勉強する際に,最初の一冊としてお勧めだと思う.