日本人としては心揺さぶられる何かがある
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タイトルは田園的/牧歌的とあるが、自然風景のみならず
それをバックとした、心に残る街の佇まいを中心とした写真集。
欧州を中心に、米州ながら欧州の薫り高いカナダが撮影場所。
表紙の息を呑む朝焼けの一枚がカナダのものであるように
氏の仕事の中心をなすプリンス・エドワード島等カナダの写真は
説明書きが無くともやはり目に付く。
人の姿がほとんど映っていなくとも感じる人のぬくもり、
そして全編を通して流れる鮮やかながら淡い色彩の印象に
日本人としては心揺さぶられる何かがある。
表紙を目にしてピンときたら、すぐに目を通すべし。
この目で見たい!
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どのショットも心を揺さぶられるものばかりです。写真の場所に行った気分になるのですが、その後には必ず私の足でこの場所に立って、私の目でこの風景を見てみたいと思わせてくれるのです。空・海・建造物・道と目で楽しんだシ−ンから、目に見えない風・波の音・土の匂いを感じる事が出来る素晴らしい写真集です。
とても尊く、気高く、神々しいまでの作品集
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とにかく、美しい――
作者が20年間追い続けてきた、牧歌的な風景の数々。
そのひとつひとつの中に、“光”と“微風”を感じます。穏やかな“音”が聴こえてきます。柔らかな“香”が舞っています。
真っすぐで、澄んでいて、“祈り”に満ち溢れていて。
とても“詩的”で、まるで印象派絵画のよう。
やさしく、深く、こころに染み渡ります。
そのどれもが、ありふれた風景写真とは、何かが違う。明らかに、違う。
そう感じるのは、何故か…
ゆっくり紐解き、感じ、そうして悟ったこと。それは“風景”と共に、其処に住む“人の気配”、その存在。
例えば…
雄大なフィヨルドに点在する漁村、雪に抱かれたルイーズ湖畔のボート小屋、朝霧立ち込めるローレンシャンの森。
その素朴な家々、クリスマス明かり、灯火の向こう。其処にはどんな人々の、どんな暮らしが在るのでしょう。どんな家族の歴史が、語り継がれているのでしょう。
人の息遣い、人肌の温もりを感じます。
その景色それぞれが、静かに語りかけてきます。
思い巡らす内に、ひとつの物語を紡いでいる自分がいます。
偶然の重なり合い、繋がり合いにより、出逢ってしまった光景。その時のこころ躍る想い。
シャッターを切る瞬間に抱く、深い感謝の念。息が詰まるような一瞬。
それは、切り取られたその風景を享受する、こちらのこころにも、広がってゆきます。
“この地球上には、そこにいるだけで、泣けてくるような場所がある”。
せつないほどに、伝わってきます。
そこに広がる景色の中へと、誘われ、溶け合います。
その光を浴びていたい、その微風にそよがれていたい。
その夢世界に浸っていたい。感じるがままに。
朝明け、新たな一日を迎える頃、そうして一日の終わり、眠りに就く前に、必ず触れたい、愛でたい。
写真家として歩んできた、20年もの歳月。その足跡は、頼もしく、眩しい。
とても尊く、気高く、神々しいまでの作品集。
――こころから、感謝したい。
美しい自然風景。吉村和敏氏20年の集大成
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鮮やかな色調でまとめ上げられた、吉村和敏氏20年の活動の集大成。
カナダのプリンスエドワード島の田園風景やニューファンドランド島のフィヨルド、ギリシア、フランスまで、世界各国の美しい生活風景の写真集。
ただの絵はがきのような観光地の写真ではなく、すこに住む人々の生活や物語を想像させる写真だ。表紙に何か感じるものがあれば、迷わず手に取ることをお薦めする。