順調に版を重ねている中村弁護士による参考書。
会社法施行後の会社分割について、新書というコンパクトサイズながら、
要点が良くまとまっていると思います。

法律家だけに、法務面に関する解説は、実務的なポイントによく言及されており、
「なるほど〜」と思う部分が随所に見られます。著者の経験が生きています。
このような著者の経験が生かされているような実務的な本は、読後も内容が頭に
残りやすい気がします。

ただし、会計処理の箇所は非常にわかりづらかったです。
会社計算規則上の一読しただけでは良くわからない単語が羅列されているだけの
箇所があったりして、ここはこの本で理解しようというのは無理な気がします。


M&Aって、実際にやると、いろいろ本に書いていないような事象が
頻出し、頭を悩ますことが多いんですけどね。
もちろん、本による知識は実践を行う上での前提ですけど。

いずれにしろ、この値段でこの内容、良い本だと思います。
版を重ねているだけありますね。

近時の企業組織再編の法改正で初めて認められた企業分割の制度ですが、いざ必要に迫られると理解が曖昧だったりすることに気が付きました。
本書ではその会社分割の典型的なタイプをいくつかの類型に分類し、目的によって最も適切なタイプはどのタイプか触れられ、手続き面ではタイプ別あるいは合併との異同を中心に説明されています。ただ、人的分割と物的分割の異同はバランスシートなどで示して説明するなど会計的な視点をもっと盛り込んでくれるとと分かりやすかったと思います。