手際よくまとまった錬金術の概観
★★★★★
錬金術の基本概念を得るのに使えます。
もちろん、エメラルドタブレットも収録されています。
錬金術で用いられるシンボルが簡潔にまとめられています。
本気で詳細な研究に取り組みたい人には、もっとくわしい本をあたったほうがいいのでしょうが、歴史的なヘルメス学、宇宙論を知りたい人には簡潔にわかるようにまとめられています。
歴史的にフリーメーソンとのかかわりについても取り上げている。
中途半端では?
★★☆☆☆
この本の良いところは安いことであるが、内容的には「帯に短したすきに長し」の感が否めない。
確かに錬金術の概略は書かれているのだが、あまりに大雑把すぎて関連性がわからなかったり、根本的な部分があまりにあっさり解説されてしまうせいでその後の解説の意味が他の書籍を読んでいないとどうにも意味が取れなかったり、概して情報不足の内容である。例えるなら、年代と主用人物と、その概略しか書かれていない、高校の世界史の教科書のような本である。更に著者の一方的な思い込みも見受けられる部分も有る。
これで錬金術を理解するのはまず無理ではないだろうか。また、入門者には重要な部分が理解できず、混乱を招く内容なのではないかとも思う。
悪書だとは思わないのだが、結果としてあまり購入の必要性を感じない。
これを読むなら、私は図版も多数収録されている「錬金術―おおいなる神秘/アンドレーア アロマティコ (著)」の方を購入することをお勧めする。初心者にはこちらの方が圧倒的に理解しやすいだろう。
歴史的背景と概要を知るための入門書
★★★★☆
紀元前エジプトから二十世紀まで、錬金術の概要と、歴史的背景からその変遷を辿る入門書。主要な錬金術師/ヘルメス学研究者の名前とそれぞれの業績等についても多く触れている。
ただ難を言えば、それだけ取り上げる対象が広くなったために、原典ではなくそれらを紹介した他の研究書を引用して書いた下りもあり、原典と照らし合わせると誤解が混じっているのが分かることも。(これは著者のせいばかりではなく、後年入手しやすくなった資料があったり、時代背景による解釈の変化というのもあるが)
この本はあくまでおおまかな全体像を知るための参考とし、もし詳細について興味を持ったら、ヘルメス叢書などより原典に近い物に当たった方が良いだろう。
入門書に最適
★★★★★
文庫版ですし錬金術の本にしては比較的安価ですから、入門書にいいのではないかと思われます。ただ、図説は少なくほとんど字ばかりなので初心者の方には見づらいと思われる方もいるかもしれませんが、基本は押さえてあります。エメラルド板の和訳も載っていますし、錬金術記号も基本的なものは載っています。最初にこれを読んで、他の本も読んで、それからまた見直すと新たな発見ができるかもしれません。
哲学としての錬金術の本格的入門書
★★★★★
この本は、東洋の錬金術にもちょっとした言及はあるが、ギリシア・エジプト等の西の錬金術についての入門書である。普通には実践的な側面を見て擬似科学などとまじめに考えられない錬金術というものが持つ非常に複雑な象徴体系である理論的な側面。この敷居の高い理論的な側面に関して、(若干の哲学的知識があった方がより面白いが)簡潔に解きほぐすように概観を示しているのが本書である。
個々の項目の内容に関して、小冊であるから物足りないような気もするが、錬金術関係の本にしては非常に安価で、分かりにくい概念に関しても訳注が加えてあるので、現在日本で刊行されている錬金術の本格的な入門書としては一番良いものであると思う。