ソウルの街を旅行する前に読んでおきたい書籍
★★★★★
ソウルの街を歩いていると、ほとんどが現代的な建物ですが、時に歴史的な建造物と出会います。それがどのような歴史を持っているのか、ということを知りたくて本書を手に取りました。復元された景福宮も訪れましたが、漢城、京城、ソウルの中心として果たしてきた役割の大きさを感じる存在感があります。
筆者は、韓国の都市と建築の研究者である広島国際大学工学部准教授で博士(工学)の砂本文彦氏です。
全ページに写真や図版が掲げられていますので、内容の理解を助けるとともに、今は失われた建物や街並みを見ることで往時を思い起こすことができます。ソウルの歴史は、朝鮮王朝や日本植民地時代の歩みそのものです。豊富な過去の写真群を眺めながら、この複雑な歴史を持つに至ったソウルの苦難の歩みを知ることになります。また俗に言われている朝鮮神宮の焼き討ち説を否定しながら、日本人の手により奉焼したという解説が104ページに書いてあり、よく事情が理解できました。
本書の内容です。
朝鮮王朝による国都造営 漢陽から漢城へ(風水地理と四神相応、国都造営、城内に築かれた貞陵と広通橋、城門と普信閣) 交錯する近代空間のヘゲモニー 漢城から京城へ(外国人遊歩が限定されて始まった朝鮮の開国、鉄道敷設権をめぐる攻防、大韓帝国皇帝の誕生、開化期の貞洞の近代洋風文化、日本人町・南山の形成、漢城から京城への都市計画、都市を支えた基盤施設) モダン都市京城(京城の都市景観 心理的景観を一変させた建築、モダン都市・京城の風景、住宅払底都市・京城) 植民地支配の解放から漢江の奇跡に向けて 京城からソウルへ