吉永小百合ですから。
★★★☆☆
昭和15年太平洋戦争が始まる前、家族4人で貧しくも笑顔のある生活を送っていた。しかし、ある日、父滋はドイツ文学者として執筆活動をしていたが、その内容により思想犯として投獄の身となる。戦争の最中、父の釈放を待つ家族と家族を支える人たちの物語を描く。
藤沢周平作品の映画化でどっぷりファンになったが、『母べえ』はついぞ手に取るのを忘れていた。いずれ見ようと思っていたが日本アカデミー賞で吉永小百合の姿を見るまで頭の片隅にもなかった。もう少し話題になっても良かったのに。何せ監督脚本はあの山田洋次だ。
しかし、作品を見て、なぜ話題にならなかったのか理解した。襖越しに見える家族の画(構図)は演出上やや疑問にも感じたが、昭和の時代を切り取った美しいもので、『三丁目の夕日』のようにノスタルジックな嘘は少なかったと思う。私の見る限り。志田未来や檀れいなどの女性陣は華やかさを十分満たしていたし、笑福亭鶴瓶やでんでんなどの脇役も文句などない。では何が問題か?
1主演のキャストミス
吉永小百合を悪く言う団塊の世代はどれほどいるだろうか?高度成長期の日本を明るく照らした美しく聡明な女性の代表は高倉健と同じく現代に生きる元気だったころの日本が体現されている。だが、あくまでも吉永小百合だ。食事の用意をしていても、夫のために信念を貫いても、溺れた家族を助けても吉永小百合以上でも以下でもない。子供との年齢差や浅野忠信の気持ちに気づいたときの表情の不自然さなど細かいことは気にしなくても常に違和感が付きまとう。CM1本1億円のアイコンはもはや動く描写に輝きを与える対象ではない。演技云々を言うのも意味がないだろう。
2強い反戦意識
幼いころ満州で過ごした戦争体験のある監督がストレートにこういった作品を生むのは、あまりにもナンセンスなのでは?寅さんで見せたかった日常をあえてこういった手法で見せるのは映画監督として反則ではないのか?まるで学校の教材にするため文科省の検閲にかけるためのようだ。戦争などにより失われていく命を足早にナレーションベースで省略し、主人公が命を失う瞬間を描くのも急なカットで場面転換させた後。時代も明らかにせず、死ぬ間際子供に『夫や身内に生きて合わなければ意味が無い』と言わせる。戦争を美化させることも気持ち悪いが、これはない。深く考えなくてもラストの不快感が強く残る人も多くいただろう。
比べるべきではないが、『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』はメイクも作品も未来を見せていた。齢77歳の監督に未来を期待するのは酷な話だったか。年寄の昔話につき合わされた気分だ。
戦争と生
★★★★★
母べえ DVD 2008年作品
なんか最近戦争ものの映画ばかり見ているというか、映画の方から
近づいてくるような気がする。
さて
日中戦争から第二次世界大戦を通してのものがたり。
思想犯として検挙され、獄中死する子供からも妻からも慕われる父親、その父の教え子は家族を見守り、出征し戦死、父の妹も家族を助けるが、広島に帰り、原爆の後遺症で死亡。
戦争というものが導く人の死。
家族、親族、そして地域共同体の中のその死をどう捉えたら正解なのか、自分にはわからない。
母べえ(吉永小百合)が医師となった長女が勤務する病院で死を迎える時、最後に二女に語る。
そう、天国で死者と逢うのが楽しみなのではない。生きているものとして逢いたい。
戦争をリアリティーとして知らないものに「死」という普遍を通して多くの事を語りかけている。
共産色出過ぎ…
★☆☆☆☆
全然内容を前もって知らないまま、観ました。観始めてすぐに違和感を感じ…その違和感は最後まで見てハッキリと気持ち悪さに変わりました。山田監督が共産主義なのは噂で聞いていたけど、こんなにもハッキリ描かれると正直気分が悪い。だいたいに、吉永小百合では年を取り過ぎていてそれがまず胡散臭く感じた。浅野忠信が陰ながら彼女を愛しているという設定もおかしすぎる。実年齢親子くらい違うのでは?吉永小百合に意見するおっさんたち(実父や、夫の恩師)の言ってることも私から聞いていればまともなのに、この母べえは夫の思想を誇示してやまない。何か必死になっている様子がともすればカルトがかっていて気味が悪いのだ。最後に夫の朗読みたいなのがあるがその口調も真面目くさっていて宗教チックでゾッとする。本当に観ただけ時間の無駄、いやそれ以上に嫌な時間を味わわされた。
古き良き時代の日本国
★★★★★
こんな時代も、あったんだなぁ。良い事も悪い事も…というか不自由な事も。この時代は知らない世代だが何となく懐かしい感じで最後まで堪能できた。それぞれのキャスティングが自分の役を、きっちり果たしていて本格派の役者さんばかりなので映画らしい映画だった。この映画で一番、感じた事は今の時代は何だかんだ言った所で自由なんだなという事。それは言論の自由という事だ。こうしてレビューを書かしていただいてもらってるのも、ありがたみを感じる。言いたい事も書きたい事も出来なかった時代が、あったのである。だからこそ、この文明の利器を正しく活用しなければいけないと思うのだ。 俺自身もロックバンドをやっていてネットで、あること、ないこと書き込まれて大迷惑している。言論の自由を、はき違えてる方には、つくづく残念としか言いようがない。
左翼の偏向反戦映画。
★★★★☆
反戦映画。
なんか淡々としていた。盛り上がりに欠ける印象。
山田監督は左翼なのかな?
実際の戦時中の人々はもっとある種の活気に満ち溢れていたように思うのだが…。
まあ、ちょっと偏った映画かもしれない。
つるべえの演技が良かったね。気の毒な最後を迎えていたけども。