最後の手紙に泣けました
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アントワネット、上巻ではいらついていましたが下巻では読むのが苦しかったです。特に最後の手紙が泣けました。この手紙、21年経ってから陽の目をみたので、アントワネットが死に臨んで挨拶しようと思った人はほとんど彼女のあとを追っていて、誰1人この手紙を読むことはなかった。せつないですね。アントワネットについてはいろいろな本が出ていますが、あとがきを読むとS.ツヴァイクが書いたこの本って、一番信用できるんじゃないかなって思いました。上巻では一気に読めず休み休み読みましたが、下巻は一気に読んでしまいました。それだけの魅力があったと思います。
角川版をおすすめ。
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岩波版で上巻を持っていたのですが、文字が小さく難しい漢字がたくさんあって読みにくかったので、下巻はこちらの角川版を買ってみました。
角川版は字の大きさもちょうどよく、文章も読みやすく、また女性が翻訳しているせいか、よりマリーアントワネット本人が語っているような印象もありとてもよかったです。また、
2007年発売の角川版は、1980年初版の岩波版に比べ、翻訳のスキルも上がっている感じがしました。なので、あっという間に読み終わりました。
ベルばらでいうなら、下巻はオスカルが亡くなった後の8巻の終わりから9巻にかけての間の話で、上巻が1巻から8巻とほとんどの部分。そう考えると、この一冊で、ベルばらでは詳しく描かれなかったアントワネットの最期の時期をより知ることが出来ると思います。(もちろん、オスカルは出てきませんよ!念のため。)
表紙も、画像ではねずみ色に見えますが、実際はシルバー。とてもきれいな作りになっています。アントワネットファンなら既に持っている肖像の一枚だとは思いますが、部屋にちょっと飾っても素敵かも。
久しぶりに読んだアントワネット関連本。もっとフランス革命の事を勉強したくなりました。
アントワネット観が変わる!
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中野京子さんの訳が非常に素晴らしいゆえに、繊細さを失うことなく
作品の持ち味をさらに発揮させ、作品に「たくましい生命力」と「情熱」を
注ぎ込んでいる。上巻を読んでいる途中から、下巻が待ち遠しくなる作品で
あるといえよう。特に上巻の最後にはフェルゼンの描写が非常に美しく、
巧みに描写されているために下巻に対する期待はさらに増す。
フランスに告発され、オーストリアには無視された彼女を
最後まで見捨てなかったフェルゼンの姿とアントワネットとフェルゼン、
お互いに思いあうこの二人に対して感動の涙を流さずにはいられない。
そして、上巻では浪費家で自由奔放な女として描かれていたアントワネットが下巻では
夫ルイ16世に尊敬の気持ちすら抱き、分別と理性のある女性となっていたことには
注目しなければならない。これは母となったことのみならず、
真実の愛を知ったからだと解釈できる。
フェルゼンとアントワネットの愛の深さを知るのみならず、
浪費家だと思われるアントワネットという女性の見方も変わる作品である。