25時 スペシャル・エディション [DVD]
価格: ¥5,076
人種差別など過激なテーマをふりかざし、作品のパワーは認められつつも、好き嫌いの多かったスパイク・リー監督。しかし本作は、観る者を問わず、あくまで静かに心の奥底に感動をもたらすだろう。麻薬所持の罪で7年の刑を受け、24時間後に収監されることになったモンティ。自分を逮捕に追い込んだのがだれなのかという疑惑。そして、刑務所の中で体験するであろう恐怖の予感。さまざまな思いを胸に、彼は残されたわずかな時間を友人や恋人と過ごす。
主演のエドワード・ノートンは、いつもながら役になりきっているが、本作では感情を抑えることに意識が向き、その分、観る者の想像力をふくらませる。むしろ親友ふたりの揺れ動く心境や、あいまいな行動が、人間の本質をとらえていて興味深く、演じるバリー・ペッパーとフィリップ・シーモア・ホフマンが、その葛藤を名演する。劇中には9.11テロで崩壊した貿易センタービルの跡地も登場し、「喪失」というテーマを色濃く反映。複数の可能性を想起させるラストは、観ているわれわれにも未来の選択を迫っているようで、いつまでも余韻が続く。(斉藤博昭)