明治極初期の文化人達の軌跡
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日本で最初に結成された学術結社「明六社」の創世記から解散までを、明治維新研究家の泰斗である大久保利謙が描く。
近代啓蒙を広め、演説会を開き、近代日本の文化的礎が、ある意味明治政府にニラまれてしまい、その後は解散となってしまう。本書は創世記から解散までを、通史と史料を取り混ぜた通史本。
明六社の解散については、出版条例を原因の一つとして取り上げているが、明六社の要員そのものが明治政府に関わっている故に、政府の圧力が来る前に解散したとも書かれている。
大久保利謙の書く歴史本はその裾野の広さに驚くが、明六社関連の史料として新聞の関連記事などからも本書に掲載している。ある意味、明六社の基礎文献と言っても過言ではない。
福沢諭吉に関わる論証で、官学アカデミズムの限界と問題点を大久保の史観で記述しているが。大久保は官学は福沢が言うまでもなく独立の精神を持っていると反論しつつ、「官威主義」の問題も提示している。
実証的に論じている基礎文献としては良書!