今まで見たバレエ作品の中でも群を抜いて秀逸です。
ルテステュとビュヨンは、本当にこの役を踊るための二人という最高のキャスティングでした。
あまりに真っ直ぐに情熱を傾ける青年と、そんな純愛を戸惑いながらも喜びを隠せない年上のベテラン娼婦。その二人の心情を全身で表現しきった二人に拍手を贈りたいです。目や手の動き１つも表現豊かで、どんどん物語に引き込まれてしまいました。そしてあまりに切なくて泣きました。
特典を見てそれぞれの想いや場面の意味を知って、あらためて見て感動を深めました。そして、美しいショパンの曲がまた素晴らしいのです。今ではオープニングの曲を聴いただけで，その先に訪れる悲しみが浮かんでくるほどです。こうして何度もまた見たくなる、そんな作品です。

周りを固めるダンサーたちもエトワールが顔を揃えるオペラ座ならではの贅沢さ。どのダンサーも本当にはまり役です。いいダンサーは踊る技術だけでなく表現力も最高なのだなぁと、あらためて思います。疎まれながらも最後まで愛を貫くN伯爵や父ムッシュ・デュバルの存在は忘れられません。２幕の一番幸せな時の髪を下ろしたルテステュが本当に美しいのですが、その後の父デュバルとの別れ話、続くアルマンとの別れの場面が一層切ないのです。書きながら思い出してまたウルウルしそうです。きっとまた見ると思います。