人材開発担当者のマニュアルとして
★★★★☆
本書は1部が「人材開発の理論」、2部が「人材開発の実践」と2部で構成されている。
1部に関しては、人材開発や人事に関わるような人であれば一度は触れたことのある理論がまとめられている。
この手の本をはじめて読むという人には良いだろう。
2部は人材開発担当者に向けられて書かれた具体的かつ実践的な内容となっている。
研修の企画・立案から運営、効果測定など担当者としてどのようにのぞむべきかが書かれている。
いかに経営TOPの理解の重要さから研修会社や外部講師との付き合い方などが担当者目線で書かれており、
これまでの人材開発に関する書籍とは一線を画した内容である。
著者が経験してきたからこそわかる研修運営中の食事のタイミングや板書への注意など実際の担当者のかゆい
ところに手が届くような細やかな注意まで書かれているため、人材開発担当者のマニュアル的な位置づけの
としては非常に有用であると思われるが、逆に言えば、人材開発の重要性や手法を知りたいという人には
不向きな内容といえるだろう。
人材開発の全体像を俯瞰するにはよい一冊だが、他著の切り貼り。
★★★☆☆
企業で人材開発に長く携わってきたものですが、はじめて人材開発にかかわる人には、関連知識を網羅した一冊として有用と思います。
ただ一方で、全体として他著の切り貼りのような一冊です。
また、それぞれの内容の取り上げ方が表面的なレベルにとどまっており、著者の説明も無理に理論にあわせようとして地に足が着いていないような印象を受けます。
企業で人材開発に専門に携わる人は、引用元の他著をきちんと読まれ、それぞれの理論の背景や研究経緯なども含めて理解を深められることをおすすめします。
すべての企業人に
★★★★★
人材開発担当者はもちろん、人材開発に関心のある全ての方に読んでいただきたい。著者の長年のノウハウと知見がぎっちりつめこまれており、大変良心的な本だと思う。理論と実践どちらの視点で読んでも、きわめて納得性が高い。今まで、ここまで体系的に人材開発を真正面から取り上げた本はなかったと思う。画期的な著書である。
「人材開発なんてまだ先…」と思っている経営者におすすめ。
★★★★★
会社を発展させるにはどうしたらいいか?経営者は昼夜を問わずこのことを考えているものです。私も含め多くの中小企業の経営者はいかにうまく商売を成立させてゆけるかを考えている時間が多いと思います。いかなる商品か?マーケットは?値決めは?などと…。本書はそんな経営者に別の角度で自らの事業をとらえるヒントを提示してくれています。「人材開発」という切り口で経営を考えてみると、日々思いを巡らせていた商売のことであっても、「人」を通してディテールを踏まえた視点で解に導かれるかもしれません。「人材開発なんてまだ先…」とお考えの経営者にも、私の感じたことを共感してもらえるかもしれません。
学問としてだけでなく、実践からの視点も盛り込まれている
★★★★☆
タイトルを見ると、人事部がどう研修プログラムを組むのか、という内容に見えるかもしれない。実際、第2部「人材開発の実践」は、筆者が過去、さまざまな企業で実施してきた経験があるからこそいえる研修計画づくりが解説されている。
だが、本書は単なる研修プログラムづくりの本ではない。それは、背景に学説や企業家の体験を元にした理論が存在するからだ。それが第1部「人材開発の理論」である。第1部は、第2部と違い、海外企業と日本企業のHRMに対するコンセプトから学習理論、キャリア開発など、HRMを考えるときに避けて通れない基本的事項を網羅している。
ビジネス書というよりは、専門書(大学の先生が書いたものではなくても、ここまで体系立っていれば、十分に専門書だと思う)に近いので、少し難しいかもしれない。また、人事部とかに所属してなければ、興味を持てないかもしれない。だが、会社がどのような目的でHRMを行っているのか、経営者なら人材をどう活かすべきか、といった視点を養うには最適である。