脳出血・くも膜下出血診療読本
価格: ¥7,128
出血性脳卒中は昭和中期の日本では脳梗塞を超えかねないほどの罹患率を示したが、高血圧治療の進歩とともに発症率が著減した。しかしながら世界全体でみれば、現在でも死者数や障害調整生存年数(DALY)は脳梗塞よりも多い。また高齢化に伴うアミロイドアンギオパチー関連脳出血や、抗血栓薬服用に関連する脳出血など、新しいタイプの脳出血が台頭してきている。 出血性脳卒中は1970 年代のCT の登場とともに診断技術が進歩し、それに応じて外科治療法も整備された。しかしながら、この十数年で急性期再開通治療など脳梗塞の診療環境が一変したことに比べると、近年の出血性脳卒中治療は足踏みしている感がある。 とは言え、超急性期血圧管理、新たな止血治療、血管内治療やより侵襲の低い外科治療など、注目すべき治療、今後の発展が期待できる治療も少なくない。そのような出血性脳卒中診療の新たな流れを、一冊に纏めた。 本書の編集にあたって、職場の最良の同僚である脳神経外科の高橋 淳部長に共同作業をお願いし、私はもっぱら「脳出血」の章の前半を担当した。 とくにトピックスとして、金沢大学の山田正仁先生にアミロイドアンギオパチーについて、NHO 九州医療センターの矢坂正弘先生に抗凝固薬関連脳出血を、最新の知見とともに解説していただいた.その他,脳出血臨床で注目される業績を挙げられた若手の先生方が各単元を担当し、分かり易い内容に仕上げていただいた。兄貴分に当たる「脳梗塞診療読本」と併せて読むとさらに学べると思います。