剣の道
★★★★★
この道を進む理由は様々あるが、大きく次の4つに大別できると思われる。
1:諸般の事情で渋々 → できれば辞めたい
2:なんとなく → 辞めてしまってもよい
3:好きだから・楽しいから → 辞めたくない
4:強くなりたいから → 辞めるわけにはいかない!
作者の土塚さんは、『BAMBOO BLADE』シリーズの本家において既にこの3をやってきている。
本作のテーマは恐らく4である。熱血路線だ。
このBBBは「自分は剣道は好きじゃない」と思い込んでいる少女・ユウが、剣道で強くなりたいという強い思いを抱いた男の子たちに接していくことで感化され、変化していくという流れになっている。
第1巻からここまでで、この道筋が確固たるものとなった印象がある。
また、この巻では稽古や試合ではなく、強くなるための前提として「もっと大事なこと」が描かれている。
メンタリティもそのひとつだが、中でも注目なのは「子供はきちんと食べて大きくなること」という点。
今回の話では、中倉ジンの家庭環境とその弊害を通じてこのテーマが描かれるが、この問題の解決へ向けて動く周囲の人々の想いがとても温かく、人の優しさに溢れていて感動的。
そしてこの件と併せて、これまでミステリアスな雰囲気のみを漂わせ謎に包まれていた顧問・持田の全貌が明らかとなる。
ただ面白いだけではなく、読み手に何かを伝えようとする。
そういった価値のある漫画として、本家とあわせてバンブレシリーズはお薦めだ。