グエムル-漢江の怪物- コレクターズ・エディション [DVD]
価格: ¥8,424
ソウルを流れる漢江に、突如として謎の怪物が出現。次々と人間が襲われるなか、川辺で売店を営んでいた一家の孫娘がさらわれる…。ストーリーだけ書くと、よくあるモンスターパニック映画だが、『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督作だけあって、さすがに異色の出来。観る者の予想を次々と覆す展開なのだ。まず怪物の登場シーンからして目を見張る。そして、その造形。このあたりは、できる限り予備知識を少なくして観てほしい。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのWETA社など世界最先端のスタジオが参加したことで、映像は期待以上だ。
怪物vs.人間の戦いに加え、怪物と接触した者たちのウィルス感染と隔離の物語も同時進行。ポイントには、ブラックなネタで笑わせる場面が挿入される。その笑いを多く担うのは、さらわれた少女の父を演じるソン・ガンホで、とぼけた行動と表情ながら、娘を必死に助けようとする姿は、ときとして予想外なほどコミカルな状況を作りだす。しかし、これもある意味、リアル。パニック状況では笑いも生まれるのだ。とにかく最後まで斬新なスタイルに引き込まれるのだが、怪物だけ観ていても楽しめるのが本作のすごさ。監督によると怪物のヒントにしたのは竹中直人だとのこと。(斉藤博昭)