興味深い着眼点
★★★★☆
今、現在の格闘技界は団体・プロモーションの規模により情報の露出に、顕著な差があると思う。
これは当たり前というか、仕方ないことだと思う。
しかし、規模が小さくなるにつれてつまらなくなるかと言うと全く違う。
規模が小さく露出は少ないが、面白い興行はいろいろとある。
で、さらに言うとメジャーな興行であればあるほど選手のレベルは上がってくるが、小さなところの選手がダメということはない。
マスコミの人のスポットの当て方次第で、もっとブレイクするのにという選手や団体はいっぱいある。
この本の著者の橋本さんは、メジャーな格闘技に関する文章も達者だと思うが、陽のあたらない団体・選手にかんする文章はさらに輝きが増す。
コアな人しか知らない選手の偉業の紹介や、小さいプロモーションからメジャーへ駆け上がろうという選手の紹介の文章は、橋本さん自身の思い入れが強くこめられていることと目の付け所がイイということに起因する素晴らしいものになっている
携帯サイトのコラムから大きく引用されており、ちょっと言葉足らずな所や情報のボリュームに物足りなさも感じるが、このタイトルをつけたことの意気込みを感じる。
次回、同じような企画があれば上記のような不満点(「他のコラムにも〜」とか、携帯サイト時の表記をそのまま流用しているところ)や、書籍化時の加筆分の少なさ(文章の題材となっている人物、事件に関して今現在どうなったかの説明が欲しいものでも加筆されているのは少なく感じます)を変更してもらいたいと思います。
凡庸な内容
★☆☆☆☆
この本の元になった筆者のコラムは以前から携帯サイトで読んでいるのですが、よく言えば団体・選手に好意的内容、悪く言えばマイナス面には故意に目をつぶっているような印象を受けます。
コラムを読む読者というのは、一般のスポーツ新聞などで報道される記事から感じる違和感の原因を説明してくれるような内容を望んでいると思うんですね。
しかし、橋本宗洋氏のコラムの内容と言うのは、一般読者のわたしでさえ「おいおい、ジャーナリストがそんなヌルイ上っ面の見方してていいのかよ。」と逆に橋本氏のコラムから違和感を感じてしまいます。
個人的に「橋本氏の適性は、ジャーナリストよりは既存団体の広報に向いているのでは?」と思いました。
ですから「格闘技界の裏側を読み解く」というスタンスのわたしのような人間は失望を感じる内容です。
逆にあまり深読みせずに、「ポジティブに既存の団体や選手を応援したい」という方なら満足できるのではないでしょうか?
わたしは前者のタイプなので星一つとさせていただきました。
PRIDE はもう忘れろ
★★★★★
というわりには、この本の内容、実は一番 PRIDEを引きづっている。
兎にも角にも、こんな本を出さなければならない程、格闘技界は今元気がない。
格闘技バブルがすぎたと言えばそうだが、しかしその要因は PRIDEの消滅であろう。
それほど PRIDEは巨大なものであったのだ。
あのUFCですら当時PRIDEにはまったく歯がたたなかったのだ。
今日本の格闘技界の流れは、2007年PRIDEが消滅し、その暮に一度かぎりの やれんのか開催、この最後の大爆発により低迷期に突入。
DREAM 戦極 その他あれど、今後しばらくの間、格闘技界は息を潜めるであろう。