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シュリンキング・ニッポン―縮小する都市の未来戦略

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 鹿島出版会
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内容は悪くないが、雑誌もしくはムックで出すべきだったと思う ★★★☆☆
今後、縮小していく都市に対してどのような問題が生じ、そしてどのように対応するべきであるかが、多彩な専門家によって語られている。対策は基本的に著者である大野先生のファイバー・シティが主軸となっているが、このファイバー・シティを理解していないと、各人の話は多少見えにくいかもしれない。全般的に、本として主張するような骨のある考えは大野先生のファイバー・シティ以外はなく、各人がそれぞれの専門の立場からいろいろと意見を述べたり、興味深そうな取り組み事例を紹介しているだけであり、それはそれで内容は面白いのだが、その多くはシンポジウムでの発表を編集したものということもあり、これは雑誌もしくはムックで出すべき内容であったと思われる。単行本で出すほど、その賞味期限は長いものではないだろう。

縮小問題はこれから長期的に、我々が取り組み考えなくてはいけない課題ではあるのだが、その点は妙にぼかされている。フィリップ・オスワルトの立ち位置もこの本だと見えにくい。ちょこっとだけ紹介するのであれば、むしろ除外した方がよかったのではないだろうか。シンポジウムであれば、このように整理されていない情報がどんどん出てくるのは歓迎である。自分で編集することができるからだ、しかし、単行本として出すのであればしっかりと出版社が編集を考えるべきであっただろう。というか、やはりこの内容は雑誌、ムックにすべきであったと思われる。内容自体は面白いだけに逆に残念である。
人口減少社会の建築家の役割 ★★★★☆
人口減少という未曾有の状況の中、拡大することを前提としたかつての政策・計画に警鐘を鳴らしている。

縮小する日本における政府・民間の役割を塚本由晴氏をはじめ最前線で活躍する建築家が意見を述べ、最後に未来戦略の一つとして、大野秀敏氏の推進するファイバーシティを紹介しいる。

ファイバーシティでは、E・ハワードの田園都市のような一定のコミュニティを創造し、その中で最大限の恩恵を得られることこそが、未来都市の在り方だと述べている。さらに氏はそこから深化させ、「街の皺」として各々のコミュニティの均質化・抑揚のない都市空間に場所性や歴史性を生かした特徴あるものを提案するなど、数々の提案は興味深く読ませていただいた。

200年住宅など長寿命化や環境問題だけが騒がれているが、ただ寿命を延ばすだけでなく、社会資産として残していけるような良好な計画が今求められているのではないか。ということを教えてもらった気がしました。

ただ、1点気になったことが、このファイバーシティに対する考察がなく、この提案を軸に展開していっても良いのではないかと思いました。