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のけものどもの: 大前粟生短篇集 (惑星と口笛ブックス)

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: 惑星と口笛ブックス
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大前粟生はマッドな彗星です。2016年に「彼女をバスタブにいれて燃やす」が『GRANTA JAPAN with 早稲田文学』の公募プロジェクトの最優秀作に選ばれ、その後めざましい活躍を見せています。本書は初の作品集。小説の未来を大前粟生がつれてきてくれました。 表紙イラストはオートモアイ。


収録作品

 ルキとモライ
 生きものアレルギー
 情熱大陸
 脂
 ファブリーズ
 不安
 隣の家
 セクシータイプ
 お花
 なんでも逆手に持って強そうな男
 ぴゅあめろでぃ
 けものどもめ
 あずきバー
 サンキンコウタイ
 新世界
 レンジ
 ホットケーキ
 おじいちゃんのにおい
 会議
 ウェンズデー
 キュウリ
 ねぇ、神さま


内容紹介

 死の空間を切れ味鋭く描いた掌篇「ルキとモライ」
 著者自身が登場するスラップスティック「情熱大陸」
 ノーベル文学賞の応募原稿を送った帰りに起こったことは……「不安」
 プロのバスプレイヤー(職業銭湯家)を目指す若者を導く「なんでも逆手に持って強そうな男」
  富士山の頂上からオムスビをいっせいに転がす100人の "トモダチ"、奇妙なハイクを詠むチア・舞子たちが登場する「サンキンコウタイ」
 もっとも長い「生きものアレルギー」は、学校にやってきてつぎつぎに容易な死を繰り返す人工教育実習生「 HINATA-3000」と紙袋を被った少年の驚異的な物語。

 奇妙な状況、これまでになかった風景、現実とフィクションの境界を震撼させる掌篇と短篇22作品を収録。 大前粟生は20世紀からつづく文学の何かを殺すためにやってきたのかもしれません。


「生きものアレルギー」より

 いままでこの学校で、教育実習生が全校集会で紹介されることはなかった。いつの間にか、ちょっと若い大人がきて、いつの間にか帰っていくだけだった。でもヒナタは紹介された。ただの教育実習生ではないヒナタがこの学校にやってくるのははじめてだったから、ハルたちだけじゃなくて先生たちも気になっていた。
 みんな体育館に集められた。まず校長先生が話した。校長先生はひどいアレルギーのために足元まで鉄の直方体を被っている。声はぜんぜん聞こえないから、校長先生は鉄の内側を叩いてモールス信号で話した。なにをいっているのかハルにはわからなかったけれど、全校集会で長話しするのが校長先生の役割だった。長いこと単調に鉄を叩く音に、何人もの生徒がまどろんで、ハルが紙袋のなかに鼻ちょうちんを作ったとき、校長先生の隣にはすでにヒナタがいた。
 ヒナタは思っていたよりも小さかった。CMで見たときにはハルの肩から指先くらいの大きさだと思っていたけど、実物はハルの手のひらくらいだった。


大前粟生 プロフィール

一九九二年兵庫県生まれ。二〇一六年「彼女をバスタブにいれて燃やす」が GRANTA JAPAN with 早稲田文学公募プロジェクト最優秀作に選出され小説家デビュー。「ユキの異常な体質 または僕はどれほどお金がほしいか」で第二回ブックショートアワード受賞。「文鳥」で at home AWARD 受賞。