小説・非正規 外されたはしご
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非正規問題の多面多様な実相を浮き彫り
東大卒の非正規労働者、弓田誠は在学時の就活期に事情があって就職を逃し、職を点々として低賃金・使い捨ての実態を知る。弓田はしかし、12年に及ぶ過酷な経験を自分にしかない「体験資産」と考え、格差社会に対応する原動力とする。勤め先の外食チェーン、自動車工場、特殊法人、メガバンクなど、いずれも得難い体験資産となった。30代も半ばとなり、機は熟した。弓田は意を決し、計略を巡らして資金調達にメドをつけ、友人らと新たな事業プロジェクトを立ち上げる。
【目次】
プロローグ
I 外食チェーン
1. 感想レポート
2. 虚偽情報
3. ヘイトスピーチ
II 自動車工場
1. 商品蒸発
2. 末梢神経
III 年金機構
1. しがらみの園
2. 旧サクセス・ストーリー
IV 学校
1. 知的伝道者
2. ブラック自治体
V メガバンク
1. 本郷の紳士
2. 告白
3. 企業経済学 vs. 労働経済学
4. 勝ち組 vs. 負け組
VI 独立
1. 運命
2. 希望
3. 新生活へのシナリオ
4. 法律の落とし穴
5. 創造的立ち上げ
6. 離陸
【著者】
北沢栄
1942年12月東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。共同通信経済部記者、ニューヨーク特派員などを経て、フリーのジャーナリスト。05年から08年まで東北公益大学大学院特任教授(公益学)。主な著書に『公益法人 隠された官の聖域』(岩波新書)、『官僚社会主義 日本を食い物にする自己増殖システム』(朝日選書)、『静かな暴走 独立行政法人』(日本評論社)、近著に『小説・特定秘密保護法 追われる男』(産学社)。訳書に『リンカーンの三分間——ゲティスバーグ演説の謎』(ゲリー・ウィルズ著、共同通信社)。