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エスカルコ゛・サイエンス 再生医療のしくみ (エスカルゴ・サイエンス)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 日本実業出版社
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やさしく書かれた良書 ★★★★☆
非常に基礎的なことから懇切丁寧に解説されているので,中学生から高校生,もしくは医療と全く関わってこなかった社会人の方でも読むことができます.
分子生物学や細胞生物学,生化学的な基礎知識が詰まっているので,理学部・農学部などの1年生に読んで欲しい内容ですね.

ただあくまで教養書の範囲にとどめてあるようですから,その専門の方には不要かと思います.
分かりやすい再生医療の解説書 ★★★★★
再生医療とは人体の失われた組織や臓器を再生させ,機能を回復させるもので,夢の医療技術として現在注目を集めている医療分野のことである.本書ではその再生医療について,1項目見開き2ページで,図を多用し分かりやすく解説している.著者は造血幹細胞に関する研究を行っている博士課程の大学院生とその所属研究室教授の二人であるが,主として第1著者が書いているものと思われる.

本書ではまず再生医療の基礎知識として,遺伝子レベルから細胞の仕組みについて解説している.その後,生命誕生から,どのようにして人体が形成されていくかについて,細胞レベルで解説されている.また再生医療の現状の問題点や明るい未来について語られている.

本書を通して,輸血というのは,再生医療のひとつであることを知り,最近始まった医療分野ではないことが分かった.また再生医療の最先端の研究は,どのような細胞にも分化するES細胞やiPS細胞といういわゆる万能細胞に関するものであることも分かった.

再生医療は,倫理面での問題も多々あるが,大きな可能性を秘めた分野であり,研究の進展を大いに期待したい.余談であるが,これまでずっと著者はその名前から女性だと思っていたが,最近男性だということを知った.
来るべき「再生医療」時代へのガイドブック ★★★★★
京都大学再生医科学研究所の山中教授によって、人間の人工万能細胞に関する論文が発表された。この本の中では昨年(2006年)発表されたマウスの人工万能細胞(iPS細胞というそうだ)解説が載っており、今振り返れば今回の発表がすでに予定された未来のものであったことがわかる
一連の新聞報道を見ても、山中教授の論文に登場する単語やテクニックについて、どうしてそのようなテクノロジーが可能なのか、なぜそんなことが起こるのかといったメカニズムについてはさっぱりわからないが、本書を読めばバックグラウンドについてもなんとなく理解することができる。

この本の筆頭著者はまだ博士課程の学生であるが、他の著名な研究者たちによる難解な「解説書」よりもずっと読みやすく、一般の科学ジャーナリストが書いた本よりもずっと正確さと感じた。ES細胞研究については欧米各国の後塵を拝した日本であるが、いまこそ来るべき再生医療時代のトップを走ることができるかもしれない。そのためのリテラシー教育のためには絶好の書といえるのではないだろうか。
先端医療がわかりやすい ★★★★☆
再生医療や生殖医療の倫理について興味があるのですが、教科書や授業の概念的な話よりよほど理解しやすかったです。ES細胞のような「再生医療」という分野にかかわる研究を「わかりやすく解説」といってる本はたくさん出ていたけど、この本は本当にわかりやすい。体の中の細胞がどんなふうにできていているのか、っていう基礎的なとこから先端の研究までカバーしているし、専門家しかわからないような言葉遣いは少なくて、専門用語が出てくるときはちゃんと解説をしているから、高校生とかでも十分読めるのではないでしょうか。高校のころに読んでいたら生物系に行ったかも、って思います。
新しい医療を待ちながら。 ★★★★★
つい先日(2007年3月19日)NHKのBSハイビジョン特集で『サイエンスロマン 不老長寿への挑戦 人間に秘められた再生力』という番組を見ました。森本レオさんがナビゲーター/聞き手役の徐福(秦の始皇帝に命じられ不老長寿の秘薬を探して終生放浪した人物)の一人二役をユーモラスに演じながら、独特な、優しい語り口調で現代の再生医療の最前線を解説してくれる番組です。
それだけソフトな演出を必要とするほど、再生医療という技術が、私たちの馴染んできた医療とは違う世界を開こうとしているからでしょう。そう遠くない未来、例えば、クローン細胞や自分の細胞から健康な臓器を作って悪くなったものと取り替える…。そんな世界は、多くは悪夢として描かれるSF(サイエンス・フィクション)の映画や小説でしか、私たちは知りません。知らない世界の扉を開くには恐怖がつきまといます。ホラー作品の仕掛けを考えるまでもなく、知らないものは、怖いのです。

ですが、本書はまず、再生医療が良く知っているものであることを教えてくれます。輸血って再生医療だったんですね! 臓器移植だって人工臓器だって、もう私たちには馴染みのあるものです。そういった技術の地続き上にあるものとして再生医療が紹介されているので、再生医療の中核を担う遺伝子や細胞、特に「幹細胞」や「ES細胞」に関する記述も落ち着いて読み進めていくことができます。
上記の番組でも核になっていましたが、これからは医療技術の進歩が報じられる上で「遺伝子」よりも「幹細胞」や「ES細胞」が注目を集めていくことでしょう。本書ではそれらがどういうものなのか、何が出来て何が出来ないのかを、細胞の構造(学校で習ったレベル)や遺伝子の働きから説き起こしてくれます。一方で専門の論文誌に発表された最新(昨2006年)の研究成果までが解説されているので、これ一冊で、新しい医療の世界を待ち受ける準備が整います。
また、文章がとても分かりやすく図解も豊富で、生物で好成績を取ったことのない私でも読み通すことができました。更に、各章のタイトルには文学作品やSFのパロディが多く、思わずくすりと笑いながら、楽しく読める読み物にもなっています。SFの作品名をもじったタイトルに笑いを誘われながら、最新の医療技術を理解していけるところに、もしかしたら本書最大の仕掛けがあるのかも知れません。