「図」で解かりやすく述べられた「器用さを獲得する脳」
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脳についての書籍が多い中、この本は副題にある「器用さ」をキーワードに、基礎から臨床までをカバーしており、興味津々で手に取ってみた。
中身を見ると、前頭葉、頭頂葉、基底核、小脳などの「基礎神経科学」と「臨床時におけるリハビリへの科学的アプローチ」が、「図」を駆使しながらきちんと述べられている。原典もはっきりしない軽い読み物ふうの本が多いなか、この本は、図や写真、データ、引用などを数多く含み、非常に丁寧な書き方が特徴。
非常に多くの情報が、整理されて紹介されており今までにない「解りやすさ」に感激した。
脳神経科学に関心のある一般の読者から、特に運動学習の神経科学とリハビリテーションと関連を知りたい人たちにとっても,貴重な情報源になると自信を持ってオススメできる。
脳科学の歴史から、運動学習の基礎科学とリハビリの新しいコンセプトが概観できるというのも、この本の大きな特徴のひとつ。
以下に主な項目を紹介する。
1運動学習研究のはじまり
2器用さの学習のメカニズムニューロン活動の働きから
3器用さの学習のメカニズムーヒトでの研究でわかったこと
4脳に障害のある場合の器用さの学習のメカニズム―リハビリテーション医療への応用
5運動学習と前頭前野