カードのお得情報といった感じの本ではありません
★★★★☆
日経文庫の本という事もあり,かなりディープな内容です.クレジットカードの仕組みやそれにまつわる法律など,利用者としては必ずしも知っていなくても支障のない話が中心で,決してカードのお得情報が書かれた本ではありません.
しかしながら,これからのクレジットカード業界の動きを知る上ではその背景を知っていると納得性が増すような気がします.クレジットカードはもともとアメリカで使われ始めたものです.アメリカ人と日本人では借金に対する考え方がかなり違いますので,アメリカ人はリボ払いやキャッシングなどを積極的に利用するが,日本人はほとんどが一回払いでの利用とのこと.このため,カード会社の収益構造も日米で大きく異なり,日本のカード会社が存続していくためには,利用者がカードの利便性に対する見返りとして相当額の年会費を払う必要があろうとのことです.
非常にお堅い感じの本で,クレジットカード会社の視点に立って書かれた本です.興味のある方はどうぞ.
業界内部の話題は別に書いてほしい
★★★☆☆
筆者はクレジット産業協会のOBで業界人。本書ではクレジットカード業界の課題を歴史、法規制、業界構造、ビジネスチャンスなど、論点を、実務に偏ることなく満遍なくカバーしている。こういう本は業界に一冊は欲しい。
一方で、文章というか書き方が今一つ。話の途中で「ところで」という形で業界内部の話題を持ち出すので、非常に読みづらい。社員向け研修資料ではないのだから、読み手を外部向けに絞って書いた方がわかりやすいと思った。業際問題などの、経営企画部署や業界団体の人向けの話題は分けて書いた方がよい。
貸金業法改正の衝撃は大きい。筆者は消費者金融依存度が高い業界体質を批判しながら、決済のみでは立ち行かないことも認めている。筆者が最後に引き合いに出した年会費引き上げ論は、懐古論であり実現は容易でない。結局は決済能力を高めながら過剰サービスを廃し、規模の論理で生き残りを目指すしかないのではないか。
クレジッカードかなくなる日
★★★★★
金利規制の変更でカード会社は青息吐息だそうだが、その理由がよくわかった。消費者には年会費無料でポイントも稼げるいいカードなのだが、内情はそれをウリにキャッシングで儲けていたのである。
著者はこの現状を踏まえて、クレジットカードは決済ビジネスに舵をとらないと、消費者がクレジットカードを使えない日が来ると危惧している(怖っ)。
そのための方策にまで踏み込んだ第3版は、今後のカードビジネスを占う意味で必読の書だ。
(大人は読んだほうが良いよ!)
優れた入門書
★★★★★
クレジットカード全般についての入門書として1997年に出版された同名の書の改訂新版。クレジットカードの仕組み、業務内容に加えて、貸金業規制法や個人情報保護法といった関係法令、さらには多重債務問題やカード偽造、インターネット取引でのなりすましといった今日的な課題についても解説されている。
平易な文章は読みやすく、複雑な部分も要点のみがさらりと簡潔に記されており、優れた入門書といえる。また、電子マネーやクレジットカードによる公金決済など、今後の将来展望にも触れると同時に、「統一消費者信用法」の創設といった業界への提言も含まれており、ベテランの業界人も興味深く読める内容となっている。
筆者は、消費者の利益のための消費者保護は、消費者の一定の責任の下で低コストが実現され、良質なサービスが提供されることによって成り立つと主張し、そのために弊害になっているのがタテ割り行政だ、と指摘する。クレジットカードに限らず広く消費者取引全般に共通する指摘であろう。
クレジットカード業界関係者のみならず、広く一般消費者、特に大学生に読んでもらいたい基本書。
クレジットカードとは何か?ということがわかる本
★★★★★
クレジットカードという、身近でありながら、よくその特性がわからないものを扱っている。まず、クレジットカードがどのようなしくみで成り立っているか。クレジット発行会社と、クレジットカードの使用の幅を広げる会社に分かれていて、クレジット発行会社はクレジットカードの使用の幅を広げる会社と提携することにより、簡単に広範で使える便利なサービスを顧客に提供できる。クレジットカードを発行することは、信用を与えるので、与信という。
VISAという国際ブランド最強の信用。VISAの歴史なども中盤では語られる。VISAの前進はバンカメリカード。Bank of Americaが発行したクレジットカード。日本にも以前、割賦商店というものがあり、商品の支払い分割サービスがあったが、結局、アメリカのサービスを接木した感じで今の日本のクレジットカードのシステムはなりたっている。