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意味がなければスイングはない (文春文庫)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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小説だけじゃない村上春樹の魅力的音楽エッセイ ★★★★★
 村上春樹のことを小説だけの作家だと考えているのは本当にもったいないことだと思います。ギリシャなどヨーロッパに住んでいたころの紀行文『遠い太鼓』、ジャズに対するアツい思いを和田誠の静かな絵にのせて語った『ポートレイト・イン・ジャズ』シリーズ。シドニー・オリンピックのドタバタ観戦記『シドニー』いずれも、小説にまったく劣ることの無い深い洞察と村上春樹以外には出すことができないユニークな視点で描かれています。
 本書は、彼のエッセイの中では幾分異色な作品で、そこそこ長めの分量で、彼が愛する音楽、クラシック、ジャズ、Jpop(スガシカオなど)と幅広く論じています。中でもブライアン・ウィルソンの音楽を深い共感と、なにか人生をともにしたような感情を込めて語る慈愛に満ちた文章にはグッとくるし、スタン・ゲッツの破滅的な人生と美しい音楽を鏡映しのように語る文章にも脱帽。極めつけはブルース・スプリングスティーンとレイモンド・カーヴァーの類似点を指摘し、両者にアメリカ郊外の労働者階級の悲哀を見るなんていうのも、村上春樹にしかかけない文章に違いないと思います。
 村上春樹が書いた音楽エッセイの中でも本書収録のものは、特にクオリティが高く、彼が本当の意味で音楽に共感し、音楽とともに生きていることがよく伝わってきます。音楽が好きな人はもちろん、音楽をあまり聴かない人でも本書を読んだら、きっと音楽が聴いてみたくなってきます。お薦め。
クールでスマートな村上節 ★★★★★
村上春樹は、何でも知ってるすごいダンカイのおじさんだ、とは、常々思っておりましたが、音楽に対する知識は半端じゃない!!

国分寺で若い頃からジャズ喫茶をしていた彼が、ジャズに関して造詣が深いのはうなずけるのですが、クラシックから、ロック、フォーク、スガシカオに至るまで!!
YouTubeが必須の一冊です。

「日曜日の朝のフランシスプーランク」
当然、私はyouTubeで「プーランク」と検索し、再生いたしました。
日曜日の朝がこれまたぴったり。そうして、同性愛者だというプーランク。同性愛者を肯定したくなるすばらしい作品を作っています。
このように、出てくるアーティストがどうしても好きになってしまう(マルサリスを除く)、音楽入門書としては最良の一冊です。
音楽評論です。 ★★★☆☆
村上春樹がJAZZバーを経営していたことは周知の事実。
そしてJAZZ以外の音楽に対しても造詣が深いことも、ファンならみんな知っている。
しかし、これほどまでにマニアックに音楽に「入れこんで」いたとは知らなかった。
この本は「ステレオサウンド」に連載していた文章をまとめたものだが、音楽エッセイではない。
音楽評論である。
おまけに、JAZZにしてもクラシックにしても聞いたことさえないアーティストが取り上げられている。
一般的な村上春樹ファンはきっと知らないだろう。
しかし、知らなくても「あの」村上春樹の調子で語られたら小気味いいことこの上ない。
知らない人ばかりだったら読もうとも思わないのだが、それが商売上手な所で、上手い具合にメジャーなアーティストが登場する。
ブライアン・ウィルソン、スプリングスティーン、スガシカオ。
久しぶりにこの本を読んで、スプリングステティーンのライブアルバムを引っ張りだしてきて「Hungry Heart」を聞いてしまった。
ほんといい曲。
でもこの本は村上春樹ファンでも、音楽に興味がなければ読めない。
なぜなら「音楽評論」だから。
でも、この本を読んで私が「スガシカオ」を聞くようになってしまったことは内緒です。
最高のシダー・ウォルトン論 ★★★★★
なぜ今まで読まなかったのだろうか?昨日読んで、冒頭で鳥肌が立ちました。30数年来大ファンだったシダー・ウォルトンのことが冒頭に書かれており、私が長年感覚的に好きだったことが、見事な言葉で表現されております。本当にすっきりしました。シダー・ウォルトンファン必見です!
読まなければ、意味がない ★★★★★
著者の音楽に対する主張が詰まっている。
スィングとタイトルにしてあるので、ジャズと思いきや
クラッシックからJポップまで取り上げている。
著者の音楽に対する誠実さが行間にあふれている。
1つの音楽論の最後の部分は、「なるほど、なるほど」と納得する程である。
音楽の造詣の深さを示している一冊である。
読んでみよう。
意味(内容)を読み取ろう。
スィングしよう。
音楽を聴こう。
次の音楽論を期待しよう。