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文楽のこころを語る (文春文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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いちいちが腹に落ちる ★★★★★
とても面白い。

当代随一の浄瑠璃語りで人間国宝の竹本住太夫さんが、全部で19段の名作・佳作を掲げて、作品の面白さ、見どころ聞きどころ、こめられた工夫や解釈、あるいはご本人の精進の思い出などを飾り気なく語り尽くしている。それぞれの章に簡単な筋書きが掲げてあって私のようなもの知らずでも読みやすい。

ずばりとしたふつうの語り口がわかりやすく、いちいちが腹に落ちる。発声法などは西洋音楽や読経などにも通ずる普遍性さえ感じる。

この本には大阪弁そのものが息づいていて、イキと間、そこから湧きだしてくるリズムやいいきいきとした抑揚が聞こえてくる。声に出して読んでみたいと思わせるとても気持ちのよい文章。この本は、山本千恵子さんという「文楽の一ファンにすぎない」方が、住太夫さんのところに通いつめて聞き書きしたもの。

ですから、山本さんにも盛大な拍手を送ります。
食わず嫌いの人はぜひ、読んでください ★★★★★
 恥ずかしながら、曽根崎心中が戦後に復活モノだということを知りませんでした。「この世の名残り、夜も名残、死に行く身をたとふれば…」なんていうあたりを無邪気に感激していたのはどうなってしまうんでしょ。というのも住大夫さんは、「近松ものは字余り字足らずで、私嫌いでんねん」(p.193)「なんで近松もんのは、こない人気があるんのんや」(p.205)と公言してはばからないのです。「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」なんかも、内容まで変えられているとのこと。

 最後の対談のところで、大阪弁が大切だみたいな話から、松嶋屋さんのところの孝太郎君も東京生まれ、みたいなところに飛んで「藤十郎さんに前から時々、息子はんの嫁はんは東京の人でかまへんけど、関西に二号を持たしなはれ、て冗談言うてる」というのは素晴らしいな、と。
本当の芸人さんの率直な芸談 ★★★★★
実際には文字大夫さんの時代しか聞いておりませんが、その後住大夫となり、いまや人間国宝となった方に、山本千恵子さんという方が聞かれた話をまとめたものです。全部で19の演目を、それぞれ語った直後に聞かれたようですから、大夫としてお客さんに聞いてもらいたいところ、実は語るのが難しいところが生々しく書かれています。柔らかな大阪弁の喋り言葉で書かれていますから、とても読みやすくできています。思わず膝を打って同意したくなるのが、「近松ものは字余り字足らずで、私嫌いでんねん」という第5章。どうも近松ものというと、特に東京ではお客が入るようですが、曽根崎心中とかは文楽作品としては一度消えて、昭和も30年代に曲が付けられた新曲もので、あまりデキがいいとは思えません。昔々の記憶ですが、舞台もやたら暗くて面白いものではありませんでした。それにもかかわらず、近松ものというと、学者風のお歴々まで出てきてあれこれ言ってくるのに住大夫さんは、割と率直に不快感を示されています。初めて文楽をご覧になる方は、近松という名前だけで劇場に行かれると文楽を好きになれずに終わるかもしれません。そんなとき、この本でどんな演目を見ればいいかがわかります。あと、驚いたのは国立劇場では客席で飲食をさせないとか。。。文楽では「そりゃ聞こえませぬ」です。もっとも私の妹は、ある大夫さんにずっと見つめられた語られたので、お弁当が食べられなかったという経験を持っておりますが(笑)
文楽聞き語り ★★★★★
ユネスコに世界遺産に認定された人形浄瑠璃文楽。
人間国宝であり、現在大夫筆頭として文楽一座をひっぱる筆者
若き日に三和会と因会に文楽が別れた苦難を乗り越え訥々と語り
多士済々な先輩方から稽古を付けて貰ったことが財産と語る。
そういった経験が著者を輝かせていると感じた。